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(9)技術を応用 別分野で新製品
多角化は、京セラの技術の延長上で展開してきました。ファインセラミックスの特性を生かして、その用途を開発してきたのです。 電子工業用にと開発した材料が、腐食しにくいことから、化学工場の薬品に触れる部分にも使われたように、別の使い道を探すことが新製品の開発につながりました。それが習い性になっていたわけです。 「クレサンベール」というブランド名で1975年に売り出した「再結晶宝石」は、全く私の興味で始めました。セラミック部品の海外売り込みに走り回っていたころ、男のくせにニューヨークの宝石店をよくのぞいておりました。エメラルドが何とも言えん緑色をしているんです。 いろいろ聞いたり、調べたりしました。エメラルドはコロンビアが1番産出量が多いのですが、天然資源が枯渇し、上質のものが少ないというんです。 セラミックスの結晶技術を突き詰めると、サファイアやルビーなどに至る。「遠い親せきのようなものだから造ってみたい」と思っていたところ、大阪大の先生がエメラルドの合成の研究をしていると聞き、一緒にやろうと決めました。 人工宝石は工業材料に使われても、宝飾品としてはうまくいかなかったのです。この商品化に成功し、直売店を持っています。 《カラーテレビの普及率が90%を超えた75年、ソニーはベータ方式の家庭用VTRを発売した。翌年には松下電器系の日本ビクターがVHS方式で参入し、両陣営の激しい闘いが繰り広げられた》 石油危機の後、NASA(米航空宇宙局)が人工衛星に使っていて、環境にやさしい太陽電池を活用し、地上でも電気を起こすことが必要と言われるようになりました。エネルギー問題は人類にとって大きなテーマになっていくし、企業にとっても大きなビジネスチャンスだと思いました。 《第一次石油危機を教訓にして、通産省は74年、石油に代わる太陽、地熱、風力などの新エネルギーを開発する国家プロジェクト「サンシャイン計画」を発足させた》 技術提携先の米国企業から、太陽電池を大量に、しかも安価に生産できる技術を導入できました。松下電器やシャープなどに呼びかけて、75年に開発会社を設立し、後に京セラ単独の事業としました。 人間の細胞と相性がいいセラミックスの特性を生かして、人工歯根や人工骨も開発しました。いずれも鉱物結晶学を応用しました。医療、宝石、エネルギーと全く違うように見えますが、ルーツは同じなのです。
(2004年4月20日 読売新聞 無断転載禁止) |
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