投信ブロガーが選ぶファンド・オブ・ザ・イヤー2011いつも新年に楽しみにしているイベントがあります。個人投資家のえんどうやすゆきさんが幹事をしているインデックス投資交流会が主催する「インデックス投資ナイト」という催しで、4回目となる今年は1月7日に開催されました。指数に連動するインデックス投資の話など「何が(どこが)面白いのだろうか?」と思われるかもしれませんが、チケットは発売から数日で完売になってしまうほど、好評のイベントです。 パネルディスカッションが2つ(第1部「みんなで考えよう、なぜ(インデックス)投資をするのか?」、第2部「インデックスファンド vs. 国内ETF vs. 海外ETF」)行なわれ、会場からの発言や質問など参加者とのコミュニケーションにも配慮した会でした。そして、閉会後の交流会で20代、30代を中心とする若い投資家どうしが自由に語り合えることを楽しみに参加する方が多いようです。このイベントを手作りしている実行委員の多くが有名な「投信ブロガー」なので、参加者は普段読んでいるブログの書き手と直接話したり、意見交換ができるからです。 ブロガーが選ぶFund of the Yearこのイベントでもうひとつ楽しみなのは、「投信ブロガー」が投票して決める「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」というアワードが、イベントの場で発表されることです。これは「rennyの備忘録」という投資信託のブログの管理人であるrennyさんが運営委員長をしているもので、インデックス投資に限定したものではありませんが、「投資信託のブログを書いている人」だけが投票することができる、つまり個人投資家が自分達でベストだと思う投資信託を選ぶ賞です。 この賞は「Fund of the Year 2007」(2008年1月に発表)から続いており、今回で5回目になります。投資信託についてのブログの数も年々増加しており、投票者数も初回の「2007」では19名でしたが、60名を越えるまでになっています。また、運用会社の担当部署の方たちにとっても注目の賞になってきています。何より、運用成績などの評価のみで選ぶのではなく、また、広告などと一切関係ない団体が選ぶ賞は珍しく、投資家自身が自発的に「投資家ニーズに応える投資信託はどれか」を選ぶ賞でもあるからです。 ![]() コストの安いインデックス投信への支持は強いインデックス運用の投資信託に限定はしていませんが、信託報酬の安さや販売手数料が無料のものも多いため、やはりインデックスファンドとインデックス運用を行なう上場投資信託が多数の票を集めました。例えば第1回の「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year2007」の受賞ファンドは、インデックス運用をする投資信託をあつめた資産分散型の投資信託「セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド」(セゾン投信)でした。代々の受賞投資信託を挙げると、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2008」は「STAM グローバル株式インデックス・オープン」(住信アセット)、同「2009」は「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」(バンガード・インベストメンツ)、同「2010」は「2008」でも受賞した「STAM グローバル株式インデックス・オープン」(住信アセット)でした。 今回の「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2011」を受賞した「CMAM 外国株式インデックスe」(中央三井アセットマネジメント)も含めて、すべて市場の代表的な指数に連動する投資成果を目指すインデックス運用の投資信託です。「CMAMインデックスe」は基本的な4つの資産(日本株式、先進国株式、日本債券、先進国債券)のそれぞれの代表的な指数に連動する投資信託4本の品揃えがある、インデックス投資信託のシリーズで、受賞した投資信託はその内の1本で、信託報酬の安さが評価されたようです。 上位に異変?アクティブ運用の日本株投信 今回のアワードで興味深かったのは、2位の「結い2101」(鎌倉投信)と4位の「ひふみ投信」(レオス・キャピタルワークス)です。この2本はインデックス運用ではなく、投資する株式の銘柄をファンドマネジャーが選択して運用するアクティブ運用の投資信託です。しかも、2本とも日本株式に主に投資をしている点、投資銘柄数が比較的少ない点が共通しています。 この2本にもう一つ共通する特徴は、どちらも運用会社が投資家に直接投資信託を販売する、いわゆる「直販ファンド」であることです。販売会社を経由しない産地直売の投資信託なので、販売手数料(投資家にとっては購入時手数料)がかからないことが、コストに敏感な若い投資家に支持される理由のひとつでしょう。 また、広告宣伝は行わない代わりに、運用会社の担当者が投資家と直接話す勉強会や報告会を頻繁に開催したり、インターネットを活用して情報提供を行うなど、投資家とのコミュニケーションを重視している点も、自分で情報を集め、自分で投資判断をしたい投資家に歓迎されていると思われます。さらに、2011年は日本株にとっても厳しい状況であったため、現金比率が運用成績に貢献して、フルインベストメント(株式組み入れ比率を高く保つ方針)の投資信託に比べて、両投資信託の成績が良かったことも高得票の一因かもしれません。 低コストのインデックス投信の未来従来上位にあった海外のETF(上場投資信託)が順位を下げていることも、これからの個人投資家の選択を考える上でポイントになるかもしれません。信託報酬のみを見ると、ETFの方がインデックス投資信託より安く、また価格を見て売買できる点もメリットと言えるかもしれません。 一方、国内のインデックス投資信託にも、先の「CMANインデックスeシリーズ」(中央三井アセット)のほか、このアワードでも上位の常連である「eMAXISシリーズ」(三菱UFJ投信)や「STAMインデックスシリーズ」(住信アセットマネジメント)ほか、信託報酬を低く抑え、販売手数料も無料で購入できる販売ルートがあるものが増加し、さらにそれらシリーズ中の投資対象も新興国やREIT(不動産投資信託)などにも広がりつつあります。その結果、わざわざ海外のETFを選択しなくてもよいかもしれないと考える個人投資家が増加しているのではないでしょうか。海外株式の売買と同様の手続きをすることが敷居が高いと感じる方もあるかもしれません。 また、ETFでは分配金を再投資する場合に手間がかかることや、定期的に積み立て感覚で投資をしたい場合に定額で購入ができないなど、利便性を優先すると信託報酬の差はガマンできるということかもしれません。 これからのことは分かりませんが、当面このようにインデックス投資信託の低コスト化と品揃えが進み、投資家が利便性を優先して低コストのインデックス投資信託を選択する傾向は続くかもしれません。そうすると、同じインデックスに投資をするなら「コストが最も安い」ことだけが価値になるのでしょうか?各社がホームページその他で情報や教育素材を提供しても、そこで情報を得た投資家が常に「最も安い」商品を選ぶことになるなら、インデックス投資信託の価値は「安さ」だけになりかねません。しかし、個人的には、それら情報を提供する姿勢や販売ルートの拡大、利便性の更なる向上など、コストだけではない価値が、インデックス運用の投資信託にもあると思います。 ◇投資信託の検索は「投信まとなび」で (2012年1月12日 読売新聞)
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