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デリバティブ・為替予約備えたが・・・

急激な円高 対処難しく
サイゼリヤの誤算

デリバティブ取引で約140億円の損失を出したサイゼリヤ

 将来の円安に備えて結んだデリバティブ(金融派生商品)取引が裏目に出て、外食チェーン大手のサイゼリヤが約140億円の損失を抱える見通しとなった。輸入食材の値上がりを抑える狙いで契約したが、実際は急速に円高が進み、契約上、不利な交換レートを強いられるためだ。輸出入で為替変動のリスク(危険)をいかに抑えるかは、産業界全体の頭の痛い課題になっている。(三好益史)

 デリバティブは、株式や債券などの取引の際、価格変動に伴う損失を少なくする目的で開発された金融商品だ。サイゼリヤは仏BNPパリバ証券と2007年10月、08年2月の2回にわたり、円と豪州ドルを交換するデリバティブ契約を結んだ。

 このうち、07年10月の契約の内容は、どんなに円安が進んでもパリバと1豪ドル=78円のレートで交換できる一方、78円より円高に振れれば、かなり悪いレートを強いられる「ハイリスク・ハイリターン」型だった。

 同社は低価格のイタリア料理店を全国に約780店展開し、食材は豪州などからの輸入が半分を占める。契約時点では1豪ドル=105円前後だったため、実際の為替相場より安く輸入できるはずだった。

 しかし、今年9月以降は金融危機で円高が進み、10月上旬に1豪ドル=78円を突破した。パリバとは08年12月から10年11月まで、豪ドルと円を毎月交換しなければならない。今後も円高が進めば、契約上、交換レートは最大600円に達する。

 今回の損失額は1豪ドル=65円で算定しているが、現在は62円前後で推移しており、さらに膨らむ見通しだ。78円より円安に戻れば負担は徐々に減るが、「契約上、大きくは減らない」という。

 こうした手法は、製造業や小売業など幅広い業種で使われている。「リスクを回避する有効な手段」(丸紅の田川真一為替・金融商品部トレーディングチーム長)である一方、リターンが大きいほど、「ハイリスク」を覚悟した上で契約が求められる。

振り回される企業

 輸出企業は常に、想定以上に円高が進み、海外の売上高が円換算で目減りする恐れにさらされている。輸入企業にとっては、円安の進行で円建ての輸入価格が値上がりする危険もある。

 こうした為替変動のリスクを避けるために一般的なのは、為替予約と呼ばれる手法だ。

 円と外貨の一定期間後の為替レートを事前に固定するもので、主に銀行と企業が相対で結ぶ。例えば、3か月後に輸入企業が1万ドルを1ドル=100円で交換する予約を結べば、その時に円安で1ドル=120円になっていても、契約通り100万円で1万ドルと交換できる。予約がなければ120万円が必要になり、20万円相当のリスクを避けられる。

 一方で、1ドル=80円の円高になれば、20万円を多く支払うことになる。

 航空燃料を輸入する全日空は、1円の円安で営業利益が19億円目減りするという。今秋以降の急速な円高は輸入面でプラスだが、「今年度の支払額は為替予約などで決まっており、業績の修正はない」という。

 トヨタ自動車は為替予約と日々の為替相場での取引を組み合わせている。やはり、1円の円高で営業利益が400億円も減少する。

 「企業によって事情は異なり、為替リスクを避ける上で、どの手法が最良かという判断は難しい」(丸紅の田川氏)のが実情だ。金融危機で為替相場の不安定さが増す中、各社は今後も難しい対応を迫られそうだ。

2008年12月9日  読売新聞)
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