今だから伝えたい「株式投資入門講座」(中)今回は、株式投資の、「基本技」を3パターンご紹介したい。 株式投資に関する入門的な文章を読んでしばしば嫌な感じがするのは、投資銘柄の選択について、「いいと思う会社」とか「自分が納得できる銘柄」「応援したいと思う会社」といった、精神主義的であいまいな言い方に逃げている場合だ。入門書でも、こうした言い方をしているものは少なくない。こうした本は、中途半端な用語解説や、チャート分析のような役に立たないテクニックの説明で別のページが埋まっている場合が多い。 他人の批判ばかりしていても仕方がないので、先を急ごう。 個人が株式投資を行う場合の基本技としてご紹介したいのは、(1)利益予想修正情報を利用した投資(「グロース投資」の一種だ)(2)PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)を利用した投資(こちらは「バリュー投資」だ)(3)企業に関する何らかの出来事の解釈を利用した投資(プロの世界では「イベント・ドリブン」などと呼ばれることが多い)の3種類だ。 第1の投資法は、「情報」に対して株価が十分に反応しているかどうかという評価がポイントになるが、あらまし、次のように行う。 まず、毎日発表される上場銘柄の利益予想をこれまでの利益予想と比べる作業が基礎になる。たとえば新聞の「決算短信」欄を見て、この数字を「東洋経済会社四季報」あるいは「日経会社情報」、あるいは「ダイヤモンド株データブック」といった企業の利益予想データを集めた媒体に載っているデータと比べる。 純利益、経常利益、営業利益などの中から、見るべき利益は、純利益よりも一時的な要因の影響を受けにくいことから、主として経常利益だろう。たとえば、今期に100億円の経常利益を予想していた会社が、同じ期の予想利益を120億円と発表したとすれば、チャンスの可能性がある。 この上方修正がどれくらい株価に影響するのが普通なのかは、企業の属性(業種や株価の割安度合い、企業規模の大小など)や過去の収益予想変更の経緯などによるが、「株価の反応が不十分だ」と思える場合に、後から株価が上昇することを期待して、その株を買ってみる、といった形が基本だ。 株価の反応が十分、不十分、あるいは行き過ぎかという見極めをして、投資に活かす。長期的な成長株投資の成功は、結局のところ、こうした利益の上方修正とそれに対する株価の反応の組み合わせであることが多い。 利益予想の変化を評価する場合、それが、1回目なのか、何度かの修正を経た修正なのかによって反応が異なる場合が多いことを覚えておきたい。たとえば、1回目の上方修正に対する株価の反応はしばしば不十分で遅れたものになる場合があるが、2回目、3回目以降の修正の場合、修正が十分に注目されて、株価が十分に反応している場合が多い。 第2の投資法は、PER(利益は当期の予想利益を使う)やPBRといった株価の指標を見て、基本的に割安な株を買ってみることだ。こうした指標で観察された株価の割安・割高の効果に関しては、日米で(特に米国で)多くの研究論文がある。過去のデータを評価した論文ベースでは、PBRの方が効果は大きいとするものが多い印象だが、どちらを利用するかは微妙だ。筆者の好みはPER的な情報の解釈だが、読者の好みによっては、PBRを中心に使ってもいい。 どちらを利用するにせよ、(1)同一業種内で比べる(2)似た規模(時価総額)の会社の中で比べる(3)自己資本比率の大きさが似た会社間で比べる(4)利益の対前年比増益率の大小を考慮して比べる(基本的に、利益成長が大きな会社はPERやPBRが高くても構わない)といった多角的な比較を行って、投資銘柄を選ぶ。 割安だと思える銘柄には、確かに割安でも仕方がないと思える理由が見つかる場合が多いものだが、「それでも割安だ」と思えるような銘柄を、前回述べたように、なるべく異なる業種からいくつか選んで分散投資しよう。 第3の方法は、企業に関する何らかのニュースをヒントにする。たとえば、ある企業の製品に不具合が見つかって製品の回収に至ったというようなニュースの場合、その製品での売り上げと利益の落ち込み、製品回収にかかるコストなどを計算して、どのくらい株価に響くのが妥当かと計算する。 たとえば、1,000円の株価の企業に不祥事が発生して、そのインパクトが株価に換算して100円相当だと計算された場合に、株価が900円ではなく、700円まで下落したとしたら、これを「行き過ぎ」と見て買ってみるような方法だ。 企業に関するニュースを、株価に対する影響としてどれくらいが妥当なのか、という観点から解釈し直す癖を付けると、株式投資の基礎体力的な力が養われる。 3つの方法は好みによってどれを使ってもいいし、複数の方法を併用しても構わない。 (2009年1月9日 読売新聞)
|
今週のPICK UPPR
ツール
|
| ▲この画面の上へ |
|
会社案内|
サイトポリシー|
個人情報|
著作権|
リンクポリシー|
お問い合わせ| YOMIURI ONLINE広告ガイド| 新聞広告ガイド| 気流・時事川柳(東京本社版)への投稿| 見出し、記事、写真の無断転載を禁じます Copyright © The Yomiuri Shimbun. |