インデックス投資のメリットと注意点最近、個人の間でもインデックス投資がポピュラーになりつつある。今回は、インデックス投資を行う上でのポイントを簡単にまとめてみたい。 「インデックス投資」とは、インデックス・ファンドに対する投資ということだ。インデックスとは、国内株式でいえばTOPIX(東証株価指数)や日経平均のような株価指数のことであり、インデックス・ファンドとは、こうした株価指数とほぼ同じ値動きになるように運用されるファンドのことで、個人投資家は公募の投資信託やETF(上場型投資信託)のような形で投資が可能だ。 インデックス・ファンドは、目標とする指数に連動させる目的だけで運用すればいいので、運用判断が容易であり、一般に運用手数料が安くなっている点に最大の特徴がある。 インデックス・ファンドの長所を簡単にまとめると、以下の3つだ。 (A)何といっても運用に関わる手数料が安い。投資信託の場合、信託報酬といわれる継続的にかかる管理・運用の手数料が安いことのプラス効果が大きい。 (B)運用内容が分かりやすい。株価指数などターゲットとなる指数の動きを見ていると日々のファンド価値の変化が分かるし、ファンドの推移(どのような状況でどのような運用成績だったか)やリスクなども、指数の過去データを見ることで判断の手掛かりになる。 (C)十分な分散投資。インデックス・ファンドが運用目標とする指数は、多くの場合、非常に多くの銘柄から計算されており、インデックス・ファンドを保有することで、実質的によく行き届いた分散投資を手軽に達成することができる。 次に、個人投資家がインデックス・ファンドに投資する際の注意点をまとめよう。ポイントは4つある。 (1)投資するインデックスの比率に注意すること。結論から言うと、日本株のインデックスと外国株のインデックス(広範囲な国に投資する)の両方に投資するのがいいだろう。外国株については「MSCI−KOKUSAI」という日本を除く先進国22か国の株価から計算されるインデックスがポピュラーだ。筆者の計算では、日本株4〜5割、外国株(MSCI−KOKUSAI)5〜6割というくらいの投資比率で組み合わせると、効率よくリスクを縮小させて投資することができる。 (2)頻繁に売買しないこと。積立投資をしたり、お金の必要があって解約したりするのは構わないが、頻繁に売ったり買ったりすると手数料がかさむ。特にETFについては、株式のように売買できて信用取引が出来ることなどが喧伝されがちだが、資産形成のためのインデックス投資の場合、売買手数料はなるべく抑えたい。 (3)買値にこだわらないこと。投資一般にいえることだが、自分の買値にこだわって運用判断が歪むケースが多いので注意したい。たとえば、まとまったお金が必要な場合は、買値に関係なくファンドを解約できるようでありたい。「買値よりも安く売るのが嫌だ」といった理由からカードローンなどで用立てすると、ローンの金利の方がインデックス・ファンドの運用利回りを上回ることが多い。 (4)商品としていいファンドを選ぶこと。商品としていいインデックス・ファンドとは、(a)手数料(信託報酬と販売手数料両方)が安いこと(b)運用残高が十分あってファンドが償還されるリスクが小さいこと(c)特にETFの場合、市場での売買が活発でいつでもスムーズに換金できること(d)ターゲットとする指数自体が投資対象としていいものであること――などだ。 指数の良し悪しは、1番目に分散投資の度合いで、大きく離れて2番目にが分かりやすさ、と考えておくといいだろう。たとえば、アメリカ株に投資するなら、ニューヨークダウ(30銘柄で構成される)よりもS&P500(大企業500社の株価から計算される)の方が十分な分散投資がなされているといえるだろう。 TOPIXと日経平均の比較では、日経平均の方が有名だが、日経平均は、株価の高い企業のウエートが高くややバランスが悪いので、筆者ならTOPIX連動型のファンドの方を推したい。 また、公募の投信とETFの比較では、ある程度以上金額がまとまった投資の場合はETFの方がコスト(実質的な運用手数料)が安く付くケースが多いが、小口の(たとえば100万円以下の)運用や積立投資などの場合は、1口1万円程度の単位で投資が出来る公募の投信の方が、総合的に手数料が安くてかつ便利な場合もある。 インデックスを上回ることを運用目的にしている「アクティブ・ファンド」の半分以上がインデックスに負ける場合が多いし(主な原因は手数料の高さだ)、どのアクティブ・ファンドが相対的に優れているのかを事前に判断する方法はないので、インデックス運用は、特別にいい運用だというわけではないが、手軽に出来る無難な運用だ。 運用を深く楽しみたい人には少々退屈かも知れないが、たとえば、外国株部分をインデックス・ファンドに任せて、日本株は自分で投資銘柄を選んで運用するといった使い方もある。 (2009年5月29日 読売新聞)
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