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持てる技術を注ぎ込み、地図に残る仕事をしたいという“もの作り”の本能が建設会社にはある。たとえそれが荒唐無稽(むけい)な物語に見えても。
準大手ゼネコンの前田建設工業(本社・東京)が、富士山ろくの青木ヶ原樹海に「マジンガーZ」の格納庫建設を請け負った!? 遊び心あふれる夢の事業に、社員たちが取り組んだ報告がこの本だ。
1970年代に放送されたアニメ番組で、主人公が操縦する巨大ロボットがマジンガーZ。汚水処理場に隠された地下格納庫から、雄々しく現れる場面が見ものだった。
建設業のイメージアップをと考えていた岩坂照之さん(36)=写真左=が、同僚に持ちかけたのが事の始まり。昨年2月、5人で架空の「ファンタジー営業部」を作った。
立て坑を掘り、堅固な地下空間を構築する。マジンガーZを持ち上げるジャッキアップの所要時間は、アニメ通り10秒以内に抑えたい。敵襲に耐える強度は原発工事を参考に。地下水圧の影響は? 社内外の専門家に知恵を借り、難題を一つずつ乗り越えた。
「専門外のことが多く、勉強になりました」と、岩坂さんの隣で上田康浩さん(38)が言う。2人は総合企画部に所属するが、土木の技術者でもある。「普通のプロジェクトと決定的に違うのは、コストダウンの意識がほとんどないことでした」と笑う。
費用さえ度外視すれば、技術的に可能と分かってくる。今日でも例えば富山県の宇奈月ダムで、水門が1000トン近い水圧にも負けず開閉しているのだ。スケールの大きい話がユーモラスな会話形式で語られ、施工技術の知識に触れることもできる。同社ホームページで進行状況を公開すると反響を呼び、約20社の出版社から「本にしたい」と申し出を受けて驚いたという。
さて、見積もりの結果は一式で72億円ナリ。工期は6年5か月。発注したい人がいれば「諸条件に見合った計画に修正した上で実際に施工させていただきます」とのこと。2番目のプロジェクト「銀河鉄道999編」も、実はすでに見積書が出来ている。(幻冬舎、1238円)(清)
(2004年12月21日 読売新聞)
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