『マイナス50℃の世界』 米原万里著
ロシア語通訳として活躍していた米原万里さん(1950〜2006)は1984年から85年にかけて、冬になるとマイナス50℃まで下がる極寒のシベリアに旅した。
その体験を記した処女作が初めて文庫化された。
オドロキの連続である。飛行機のタラップを下りて1分ほどすると、人々のまつげもまゆ毛も真っ白になる。吐く息が凍り、毛の一本一本に氷が張り付いてしまうからだ。目の水分も氷の膜におおわれ、まばたきするのも力まねばできない。
見ること聞くこと、日本の常識外。それを好奇心いっぱいに見つめ、明快に紹介する。永久凍土の上にある大地は、冬の凍結と夏のゆるみを繰り返すため、木造の建物は傾き、50年とはもたない。そんな事実まで、最後までたまげる話のてんこ盛りだった。
帯に〈こんな毎日、想像できる?〉とある。もちろん想像できなかったが、極寒の地で衣食住に工夫を凝らすヤクート人の暮らしの楽しそうなことといったらない。人間の
(2012年2月15日 読売新聞)
- 『世界を変えた哲学者たち』 堀川哲著 (5月23日)
- 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』 ジョン・ル・カレ著 (5月16日)
- 『銀座復興 他三篇』 水上滝太郎著 (4月18日)
- 『咲庵(しょうあん)』 中山義秀(ぎしゅう)著 (4月11日)
- 『藤澤清造短篇集』 西村賢太編 (4月4日)
- 『酔っぱらい読本』 吉行淳之介編 (3月21日)
- 『ビヨンド・エジソン』 最相葉月著 (3月14日)
- 『赤頭巾ちゃん気をつけて』 庄司薫著 (3月7日)
- 『マグロはおもしろい』 北川貴士著 (2月22日)
- 『マイナス50℃の世界』 米原万里著 (2月15日)
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