本を読むのも「取材」です
おはようございます。今日は、自分のことを書こうと思います。
小説のことを担当する記者を「文芸記者」と呼ぶのかもしれません。ですが、私は自分のことを「文芸記者」と言われると少し抵抗があります。あんまりたいして本も読んでいないし、もっと世で言う文芸記者とは、立派な人のような気がするのです。
文化部で本の担当を始めてしばらく時間がたつと、誰でも自分の専門知識のなさに悩むようになります。評論家でも作家でもない自分が、小説について記事を書く意味はどこにあるのか考え込んでしまいます。その結果、思い至ったのは「本に取材をすればいい」ということでした。
私は新聞記者なので、人に話を聞いたり、事実関係を調査したりすることは人より少し訓練を積んでいます。そこで、取材相手に話を聞くような気分で、本の文字を観察し、小説の言葉に正確に耳を傾ければ、格好がつくのではないかと考えるようになりました。
私の現在の読書はすべて「取材」なのです(もしくは、できるだけ取材の境地に近づきたい。本の伝える言葉を、可能な限り正確に読み取りたいと思っています)。
取材でない唯一の読書は、「川の光2」の原稿を読むことです。この動物の冒険物語を読むときだけは、マクダフやビス丸の活躍に心を揺すぶられ、タータやチッチの何気ない一言に勝手な空想を広げます。今日もみなさんと、川の光たちの物語に心をはずませてゆきたいと思います。
今日はなぜか担当記者の領分を越えて、自分のことを語りすぎてしまいました。おわびというわけではないのですが、「中央公論」3月号の「川の光 外伝」の挿絵を掲載したいと思います。それでは、お元気で。
プロフィル
- 待田 晋哉(まちだ・しんや)
1974年、山口県生まれ。読売新聞東京本社に97年入社。千葉支局、地方部などを経て文化部で文芸、書評を担当。好きなことは、畳の上に寝転がって本を読むことと、ラーメン屋で一人、ぼんやりビールを飲むこと、そして何より「川の光2」の原稿を担当記者として誰よりもいち早く読むこと。
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