『スローカーブを、もう一球』 山際淳司著
無名選手の孤独な心理戦
群馬県の高崎高校が甲子園出場を決めた。
吉報を聞き、スポーツノンフィクションの古典と言える山際淳司(1948〜95年)の同校の快進撃を描いた名作を思い出す人はいるだろう。
胸を甘くくすぐるものが、この一編にはすべてそろっている。猛練習とは無縁の野球部が、次々と強豪校を破ってゆく。エースの得意球は、スローカーブだ。風と土のにおいがするグラウンドで、山なりの一球が強打者たちを戸惑わせる。
文庫本には、本作を含め8編を収録する。1979年の日本シリーズ、広島―近鉄の有名な9回裏の攻防を切り取った「江夏の21球」もある。だが、同高をはじめあまり著名ではない選手に寄り添う作品が多い。
「たった一人のオリンピック」は、さえない大学生が突然、五輪出場を目指す。マイナー競技の一人乗りボートなら出場できそうだと考え、「今日、Good ideaが浮かんだ!!」と日記に書く。1年半での目標達成を目指したが……。
夢が
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角川文庫版は1985年刊。63刷75万2000部。476円。
(2012年2月15日 読売新聞)
- 『チャイコフスキー・コンクール』 中村紘子著 (5月23日)
- 『コリアン世界の旅』 野村進著 (5月11日)
- 『超芸術トマソン』 赤瀬川原平著 (4月25日)
- 『バーボン・ストリート』 沢木耕太郎著 (4月18日)
- 『本当は恐ろしいグリム童話』 桐生操著 (4月13日)
- 『卍(まんじ)』 谷崎潤一郎著 (4月4日)
- 『新明解国語辞典』第七版 山田忠雄ほか編 (3月28日)
- 『日本語の作文技術』 本多勝一著 (3月21日)
- 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック著 (3月14日)
- 『大名の日本地図』 中嶋繁雄著 (3月7日)
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