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トークショーに登場した村上春樹氏(中央)
作家の村上春樹氏(55)=写真中央=が、このほど都内で開かれたトークショーに登場した。氏が読者とじかに接するイベントに出席することはほとんどなく、会場を埋めた100人は、さっそうとした氏の、ユーモアあふれる語りを2時間にわたって満喫した。
イベントは、雑誌「オリーブ」などで活躍した伝説のスタイリストでエッセイストの吉本由美氏=同左=、写真家で編集者の都築響一氏=同右=との共著『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』(文芸春秋)の刊行を記念したもの。「するめクラブ」は氏を隊長に3人が、一見わざわざ行こうと思わないような場所に出かけ、見過ごしがちなものに深入りする、無定見ながら味のある旅行記で、月刊誌「TITLE」(同)に一昨年から連載されてきた。
隊長は「するめクラブ」の命名者でもあり、「見かけは地味だけれど、かむと味が出る。するめは“抱かれたいおつまみ”の上位に入るんじゃないか。日本社会の中空構造に対するしなやかな『NO』でもある」とその由来を説明した。
本書で3人は、海外2か所、国内4か所の計6か所で「はぐれ」ているが、この日、写真を映写しながら紹介したのは、名古屋、ハワイ、そしてサハリン。
名古屋ではラブホテル探訪を担当したという村上氏は、「『アフターダーク』のホテルの場面は、この取材があったからこそ。ラブホテルで何が面白いかっていうと、従業員の控室」と、9月に刊行された新作の創作秘話を披露した。
また、サハリン島に渡る前には、チェーホフ『サハリン島』を読んだといい、「当時のロシア人もなぜチェーホフが突然サハリンに行ったか全然理解しなかったけれど、この本は立派な歴史資料になっている。心ある人は、まずそっちから読んでみては」と話した。
また、「3人で行くと面白いと思うところが少しずつ違う。1人だと難しいけれど、興味のある人は同好の士を求めて行くのがいいと思う。結構どこにでも、面白いところはあるんですよね」と、「はぐれ」旅のすすめで締めくくった。
(2004年11月19日 読売新聞 無断転載禁止)
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