根強い「ハリポタ」「セカチュー」2年連続2位
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小説が強かった2004年のベストセラー
ベストセラーは時代の鏡。2004年の読書に人々はどんな思いを託したのか。純愛やネット発で話題になった本の編集者とともに、ヒットの秘密を振り返ってみた。(佐藤 憲一記者)
綿矢りさの芥川賞最年少受賞作『蹴りたい背中』(河出書房新社、127万部)の話題で始まった今年。ベストセラーリストを席巻したのは「物語」だった。
トーハン調べの年間ベストセラーでも、J・K・ローリング『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(静山社、290万セット)が、シリーズ前作ほど勢いがないと言われながらトップを死守。映画化などで女性を中心にブームを維持した片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』(小学館、321万部)が2年連続の2位となった。
中高年女性のハートをつかんだ「冬のソナタ」の小説版などを含めベスト20中7作をフィクションが占めた。昨年はわずか2作。ノンフィクション優勢が続いてきた中で、吉本(現よしもと)ばなな、村上春樹らが並んだ1989年以来の“文芸復興”かもしれない。
出版物全体の売り上げも、恋愛小説を中心とした書籍の好調が雑誌不振をカバーし、96年以来8年ぶりにプラス成長になる公算が大きい。
出版科学研究所の佐々木利春主任研究員は、「読み物は多くの人を書店に足を運ばせる波及力がある。特に忘れていた純粋な感情を思い出させてくれる恋愛小説は、物語の力を多くの読者に再認識させた」と分析する。
2年連続ヒットの養老孟司『バカの壁』(新潮新書、376万部)などのコミュニケーション論、寓話(ぐうわ)を通して努力の大切さを伝えるA・ロビラほか『グッドラック』(ポプラ社、140万部)を含む人生指南書も根強い人気。天にコブシを突き上げるポーズなど手軽な自己変革法を説く、上大岡トメ『キッパリ!』(幻冬舎、90万部)、子供向けの職業ガイド、村上龍ほか『13歳のハローワーク』(同、108万部)のヒットも、ストレス社会や流動化社会の中で前向きな生き方を探す世相の反映だろう。
老人力に着目した意外なヒットもあった。漢字書き取り問題や計算ドリルを集めた、川島隆太『脳を鍛える大人の音読ドリル』(くもん出版、89・5万部)、『――計算ドリル』(同、91・5万部)は物忘れが気になる高齢者に支持された。
毎年4、5点のミリオンセラーは出ていたが、今年はベスト10中7作と目立ったのも大きな特色だ。
映画やテレビを通して話題が広がり、ベストセラーに人気が集中する現象が定着し、「今や、2、300万部も珍しくない」(佐々木研究員)メガヒットの時代に突入している。(部数は発売時からの累積発行部数)
(2004年12月15日 読売新聞)
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