題材を限定「数え方」「四字熟語」 「新明解」運用例に世相反映
言葉の意味を調べる時だけでなく“読み物”として辞書を手に取る人が増えている。辞書を読み解く楽しさを紹介した特集が雑誌に組まれたり、ユニークな題材の辞典が登場したりしていることも人気を後押ししている。社会常識や哲学まで内包した辞書が「うんちく」を求める現代人の心をとらえているようだ。
雑誌で特集され反響
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「新解さんの読み方」著者・夏石鈴子さん。「よく知っているつもりの言葉を引くと意外な発見があります」(東京・神田神保町の三省堂書店で)
美容室の鏡の前で、イスに腰掛けた中年女性が熱心に読んでいるのは女性週刊誌ではなく国語辞典――。東京都内の地下鉄各駅で11月20日に配布された月刊フリーペーパー「metro min.」(スターツ出版)に、こんな写真を使った「辞書を読書」する特集が組まれた。
「この特集を読んですっかり辞書ファンになった」「読み物として辞書を読んでいこうと思った」などの反響が次々に寄せられたという。「辞書は身近な書物。特集は『新鮮で面白い』と、読者の興味を刺激したようです」と同誌編集部は話す。
ユニークな題材の辞書の出版も、最近相次いでいる。数え方だけをテーマにした「数え方の辞典」(小学館、2310円=税込み、以下同)は今年3月に発売後、半年で10万部を発行する人気だ。バイオリンは「一挺(ちょう)」、悪魔は「1匹」で天使は「1人」など、知っているようで知らない名詞の数え方を示している。
今年6月発売の「四字熟語辞典」(大修館書店、2310円)は「読み終えました」といった読者カードが届き、読み物としての人気が高いという。同社の担当者は「1万部売れれば成功と考えていた」が、既に5刷3万部が売れたという。
1972年の初版以来、語釈や運用例のユニークさから、「新解さん」の愛称で親しまれているのは三省堂の「新明解国語辞典」だ。世相を皮肉る観察眼や社会分析を語釈・運用例に盛り込み、多くの“読者”を得ている。11月末に発売された第6版(並版・特装版3045円)によると、「著名人」を「その世界で名前が知られている人。(必ずしも偉大な存在を意味しない)」と皮肉たっぷりに解釈したり、「嵌(はま)る」の運用法に「韓国ドラマに嵌っている」を挙げて時勢を反映してみたり。
“手引書”も登場
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辞書のほか、関連する出版物も並ぶ辞書コーナー(東京・中央区の八重洲ブックセンターで)
大修館書店の「明鏡国語辞典」(3570円)編者による「問題な日本語」(840円)や、辞書制作の舞台裏に迫った「国語辞書事件簿」(草思社、1890円)など、辞書にまつわる出版物も11月末に相次いで発売された。
「新明解国語辞典」の楽しみ方を解説した「新解さんの読み方」(角川文庫、660円)の著者で作家の夏石鈴子さんは“辞書を読書するブーム”について、「昔に比べて漢文や古文の教養を身につける機会が減り、毎日使う言葉を正しく使うことさえおぼつかないと感じる人が増えている。そんな人たちが言葉遣いの手本やうんちくを求め、読み物として辞書を手に取るのでしょう」と分析している。
(2005年1月4日 読売新聞)
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