少女読者を視野に 人気小説も漫画化
漫画の世界で、少年・少女読者のボーダーレス化が進んでいる。それを象徴するように、あす26日創刊の「月刊少年シリウス」(講談社)は、少年と銘打ちながら、少女読者も狙った初のハイブリッド誌。少女読者は少年漫画に何を求めるのか?(石田汗太記者)
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「シリウスはしなやかな絹のイメージの少年誌」と語る指吸孝一編集長
「新雑誌に『少女○○』と名前を付けても売れない。今ならば『少年○○』の方が少女読者にアピールしやすい」
「シリウス」の指吸(ゆびすい)孝一編集長はこう語る。中学生がメーン読者という同誌は、ある意味実に欲張りな漫画誌だ。「基本はファンタジー漫画+ライトノベル。漫画も小説も両方読む、活字好きな男の子、女の子を意識しています」。中・高校生に人気の作家、西尾維新、あさのあつこの新作小説を別冊付録にし、本誌では、あさの、はやみねかおる、田中芳樹の小説を漫画化。自社の青い鳥文庫や講談社ノベルスなどの文芸資産を最大限に生かす狙いだ。
新人中心の連載陣の中で目を引くのが、小川彌生の『BAROQUE(バロック)』。レディース誌「Kiss」で『きみはペット』をヒットさせた都会派ラブコメの異才が、「正統派」少年漫画に初挑戦している。メディアミックス企画に頼らず、同人誌作品に門戸を開く点も評価できるが、同社の漫画誌にしては地味な印象も受ける。
「創刊号は5万部。まだ少年誌色が強いが、これから少女向けの作品も増やしていく。ライバル誌は、内容的には『ジャンプ』という気持ち」
◎
指吸編集長の指摘通り、「週刊少年ジャンプ」(集英社)、「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)、「月刊少年エース」(角川書店)などを読む女性読者はかなり多い。集英社によれば、現在294万部の「ジャンプ」読者の女性比率は約2割。特に少女読者は意識していないというが、コミックマーケットなど同人誌市場では、『テニスの王子様』や『DEATH NOTE』などの人気は完全に女性優位だ。
荒川弘『鋼の錬金術師』も少女ファンの多さで有名。連載誌「少年ガンガン」の湯村宣昭副編集長によると、約20万部だった同誌は“ハガレン”人気で30万部に急伸したが、「増加分のほとんどは少女読者では」と推測する。「恋愛中心の少女漫画の精神性より、少年漫画のわかりやすさを求める女性が増えているようだ。描き手の側も、少年誌に描きたいという女性漫画家は結構多い」
一方、最近話題の少女漫画『NANA』『のだめカンタービレ』『ハチミツとクローバー』などのヒットに関して、評論家の藤本由香里さんは「男性おたくの需要」の増加を指摘している(「創」6月号)。「恋愛」に反応する男性読者が増えているというのだ。個人的には、面白い漫画は性差を超えると思うが、今に男性向け「少女漫画誌」だって成立するかも?
読者として読みたい
漫画家・小川彌生さんの話「以前から少女誌か少年誌に仕事を広げたいと思っていたので、二つ返事でお引き受けしました。『きみはペット』と全然方向性が違うので驚かれるかもしれませんが、『ペット』は私としては難しい課題を一つ一つクリアしながら描いている作品で、純粋に読者として読みたいのはこっちの方なんですよ。私自身、男の子向け漫画で育ってきたところもあるので。今回は絵柄も意識して変え、女の子の口や鼻を小さく描き、線も強めに引いています。思い切りアクションシーンが描けるのはうれしいですね。最近の女性読者は『男脳』度の高い人と『女脳』度の高い人に二極化し、恋愛ものに飽き足らない前者の人が少年誌に流れていると思う。一方、男性の『乙女化』も強く感じますね」
(2005年5月25日 読売新聞)
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