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出版トピック

中高年向けライフスタイル誌 高齢社会にらみ挑戦

成功例少なく大部数困難か

 活発な消費とは縁遠いと思われてきた中高年に、休日の過ごし方やリタイア後の充実した人生を提案するライフスタイル誌が増えている。若者志向で成長してきた雑誌界が上の世代に熱い視線を注ぐのは、なぜなのか。(佐藤憲一記者) 

写真の拡大現役世代の余暇からリタイア後の楽しみ方まで、中高年ライフスタイルの提案も多彩
現役世代の余暇からリタイア後の楽しみ方まで、中高年ライフスタイルの提案も多彩
現役世代の余暇からリタイア後の楽しみ方まで、中高年ライフスタイルの提案も多彩

 ゆったりと砂漠を行く旅人を表紙にあしらった隔月刊誌「駱駝(らくだ)」(小学館)が、先月創刊された。発行部数10万部。創刊号で南イタリア特集を組むなど、兄弟誌「サライ」にはなかった長期滞在型の海外旅行情報をメーンに据え、資産活用や健康情報を盛り込んだ。

 岩本敏編集長は、「ビジネスが人生の第一義ではないと感じ始めた団塊の世代とその上のリタイア層が中心読者。資産も自由時間もあるこの世代があこがれを実現するための具体的情報を提供する」と編集方針を語る。

 旅、食、趣味などにこだわった中高年向けライフスタイル誌は、1989年創刊の「サライ」が先駆け。2001年には「日経おとなのOFF」など5〜6誌が相次いで創刊、その後も「日経マスターズ」、「ランティエ」など後続誌が相次ぎ、現在20誌を超すと言われる。

 雑誌は7年連続のマイナス成長。この動きの背景には、少子高齢化で若者を狙った雑誌作りが難しくなり、中高年市場の開拓に目を向けざるをえない事情がある。

 人口の多い現在56歳〜58歳の団塊の世代(47〜49年生まれ)が2年後から定年を迎え、余暇の時間が生まれるため、これまでの現役世代だけでなく、「駱駝」のようにリタイア後の人生に比重を移す創刊誌も増えてきそうだ。

 ただ創刊の動きは目立っても、01年創刊組の「オブラ」「ヘミングウェイ」が休刊に追い込まれるなど、これまでの雑誌で成功例は少ないのも現実だ。

 出版科学研究所の村上達彦研究員は、「テーマを一つに絞った分冊百科が読まれるなど、中高年の読者は必要な情報だけ求めがち。そのため、さまざまな情報を盛り込んだ雑誌で大部数を狙うのは難しい」と分析する。「駱駝」も部数重視より、可処分所得の大きい富裕層にターゲットを絞り広告収入で収益を上げる方針と見られる。

 01年組の中で健闘しているのが、女性読者が4割という「日経おとなのOFF」(日経ホーム出版社)。男女一緒に休日を楽しむ団塊以降のライフスタイルに合った編集方針で、創刊時の実売6万部から8万部まで部数を伸ばしてきた。

 能勢剛編集長は、「従来の食や宿からテーマを広げて企画したマナー特集や美術館特集が今年完売となった。若いころ、デートの仕方から雑誌に学んだ世代も中高年になり、この世代に向けた雑誌の将来性は高い」と悲観論をはねのける。

 いずれにしろ、10年後に4人に1人が65歳以上となる日本で、中年からシニア層に向けた雑誌作りは避けられない。未曽有の高齢化を目前に、「世界的に見ても例のない挑戦」(岩本編集長)が始まっている。

(2005年6月2日  読売新聞)