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最強ミステリー選べるか

写真の拡大逢坂剛・前理事長(右)と握手する大沢在昌・日本推理作家協会新理事長
逢坂剛・前理事長(右)と握手する大沢在昌・日本推理作家協会新理事長
逢坂剛・前理事長(右)と握手する大沢在昌・日本推理作家協会新理事長

 今月から日本推理作家協会の新理事長に就任した大沢在昌さんが、「日本推理作家協会賞」の改革案を打ち出し話題を呼んでいる。

 作家や評論家が前年に発表された作品から選ぶ同賞は、58年の歴史を誇るミステリー界最古の文学賞。「長編及び連作短編集部門」「短編部門」「評論その他の部門」の3部門があるが、既受賞者は他の部門でも選考対象から除く規則だ。

 就任決定時の記者会見で大沢さんは、「既受賞者も含め、毎年の最も優れたミステリーを選ぶべきという議論もある」と規則改正に前向きな姿勢を示し、記者から活発な質問が飛んだ。

 改革の目的は、推協賞の地位向上。上位作品が毎年ベストセラーとなるアンケート「このミステリーがすごい!」や協会主催の公募新人賞「江戸川乱歩賞」と比べても、同賞の認知度が高いとはいえない。

 多くの作家に受賞の機会を与える現システムの利点を犠牲にしても、真のベスト1を選ぶことで賞の注目度を高めようという訳だ。

 特に「短編部門」はこの数年、“候補者不足”で受賞者が出ないことも多い。だれが選考にあたるかなど議論を煮詰めた上で必要な改革だろう。

 新理事長の“施政方針”を聞きながら思ったのは、乱歩賞を含めた現在の4部門は、寂しすぎないかということだ。同じプロ作家の団体が主催する米探偵作家クラブのエドガー賞(MWA賞)はジュブナイルなどの児童文学から、テレビ、映画脚本を含む18、英国推理作家協会のCWA賞も10の賞がある。

 ミステリーの領域が広がった現在、広く才能を顕彰することは、出版界全体の隆盛にもつながる。財政面などの厳しさは承知するが、冠スポンサーをつけるなど長期的な課題として考慮してもいいのではないか。

 実際、昨年、エドガー賞の授賞式を取材したが、ショーアップされた演出で、さまざまな分野の受賞者を発表する祭典は、エンターテインメントの賞らしい華々しさがあった。

 伝統に甘んじない改革へ第一歩を踏み出したことは評価できる。最強の作家事務所「大沢オフィス」を率いる新理事長の、大胆な経営手腕に期待したい。(佐藤憲一記者)

(2005年6月3日  読売新聞)