仏映画「美女と野獣」翻訳
今年生誕100年を迎えた作家の大岡昇平(1909〜88)=写真=が、フランスの名匠ジャン・コクトー監督の映画「美女と野獣」(46年製作)のセリフを日本語に翻訳した字幕台本が発見された。映画が日本で公開された48年は、フィリピンでの戦争体験を題材にした「俘虜()記」や「野火」の一部を発表した年にあたり、大岡の初期の表現活動を知る上で貴重な資料となりそうだ。
台本は「美女と野獣」のタイトルなどがフランス語でタイプ打ちされた表紙を含め、全59ページ。セリフはすべて日本語で、死にかけた野獣に主人公の娘が涙を流して呼びかける場面は、「何かいつて頂戴(ちょうだい)。許して頂戴。……あたしこそ人でなしだつたわ。死んぢあいや。死んぢあいや」と書かれている。
台本は、東京国立近代美術館フィルムセンターに寄贈された「フランス映画輸出組合日本事務所」の資料の中から発見され、「大岡昇平訳」と明記されていた。フィルムセンターによると、大岡は47年に設立された同事務所で、1年ほど字幕翻訳や宣伝媒体向けの文章の執筆などに携わった。同センターの岡田秀則主任研究員は「10行以上に及ぶセリフもあり、原作を尊重する作家としてのこだわりが感じられる」と話している。
(2009年10月29日 読売新聞)
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