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荒川10年の変遷 「撮る会」が写真集…埼玉

「流域の自然後世に」

写真の拡大写真集「残したい・伝えたい 荒川」を手に、荒川の魅力を語る岩田省三さん
写真集「残したい・伝えたい 荒川」を手に、荒川の魅力を語る岩田省三さん
写真集「残したい・伝えたい 荒川」を手に、荒川の魅力を語る岩田省三さん

 荒川の四季の表情や水辺の生き物、流域の人々の暮らしぶりなどを収めた写真集「残したい・伝えたい 荒川」を、プロ・アマ写真家の「荒川を撮る会」が発刊した。埼玉、長野、山梨県境の甲武信岳(こぶしだけ)に源を発し、県内を横断して東京湾に注ぐ、全長173キロの荒川。その最近10年間(2000〜09年)の姿を収録しており、史料的価値もありそうだ。

 荒川を撮る会は、大手広告会社・電通の元カメラマンで写真家の埼玉県寄居町寄居、岩田省三さん(71)が呼びかけ、1999年4月に発足した。退職を機に故郷の寄居町に帰った際、荒川がきれいになったことに感動し、その姿を後世に残そうと思ったのがきっかけだった。友人、知人に声をかけると、甲武信岳の山小屋の主(あるじ)から東京の大学教授まで、様々な人々が集まった。会員は現在、62人。全員、流域に住んでおり、わずかな川の変化も見逃さない。

 会は発足以来、毎年、川の写真と合わせて流域の環境の変化や絶滅危惧(きぐ)動植物などを撮った写真を、県立川の博物館(寄居町)に寄贈、自然環境の保全や伝統文化の継承も訴えている。現在、総数は4000点を超え、歴史の一コマ一コマを伝える貴重なコレクションになっている。

 写真集は3部構成で、厳選した284枚を収録。

写真の拡大収録写真の一つで、長瀞町の秩父鉄道荒川橋下流で撮影された「長瀞の休日」
収録写真の一つで、長瀞町の秩父鉄道荒川橋下流で撮影された「長瀞の休日」
収録写真の一つで、長瀞町の秩父鉄道荒川橋下流で撮影された「長瀞の休日」

 第1章「流域の四季」は、甲武信岳の空撮に始まり、青く苔(こけ)むした源流点、真の沢中流域の凍った千丈ノ滝と、徐々に下流へ。春の芽吹きの直前、わずか1時間ほど白く染まった釜伏山(寄居町)、コスモスが群生した吹上河川敷(鴻巣市)を経て、川面の朝霧が幻想的な上江橋(さいたま市)近辺へと続く。

 第2章「花といきもの」では、ヤナギランや県天然記念物のゴヨウツツジ(寄居町)など流域の草花に加え、ヤマセミやカワセミ、オオイトトンボやギンヤンマの、珍しい生態を満載。第3章「環境とくらし」では、秩父市久那のジャランポン祭(葬式祭)、旧川本町で昨年まで行われていた白鳥の餌付けの様子など、史料的な価値のある写真が目を引く。岩田さんは、発刊について、「『一瞬の永遠』という言葉があるが、今この時の荒川の表情を後世に引き継ぐことで、多くの人が環境や自然について考える契機になれば」と語る。

 縦29センチ、横23・5センチのフルカラー177ページ。希望者には、2940円(税込み)で販売する。問い合わせは、荒川を撮る会事務局(制野明義さん、048・581・8487)まで。

(2009年11月13日  読売新聞)