現在位置は です

本文です

「1Q84」なお未解明 続編示唆

村上春樹氏ロングインタビュー 「考える人」夏号

写真の拡大インタビューに答える編集者の松家仁之さん(1日、東京・新宿区の新潮社で)=鈴木毅彦撮影
インタビューに答える編集者の松家仁之さん(1日、東京・新宿区の新潮社で)=鈴木毅彦撮影
インタビューに答える編集者の松家仁之さん(1日、東京・新宿区の新潮社で)=鈴木毅彦撮影

 人はなぜ、物語を必要とするか。小説を進化させるため、作家としてどれほどの営為を重ねてきたか――。村上春樹氏(61)が30年にわたる創作生活を存分に語ったロングインタビューが、3日発売の「考える人」夏号に掲載される。

 箱根のホテルで5月中旬に3日間、聞き手を務めた編集者の松家仁之(まさし)氏(51)は、「広く深い海にボートでこぎ出し、風と波に揺られ、うねりを味わい、気づいたら岸辺に戻っていた感じ」だと振り返る。さらに「小説の変革と、自身の自由を追求し続ける姿勢に圧倒された」と語る。

 インタビューは400字詰めで350枚。村上氏は『1Q84』について、BOOK1、BOOK2を書き終えて、「そのときは本当にこれでおしまいのつもりでした」。だが、次第に執筆意欲がわき、中年探偵の牛河から話を始めるアイデアを「アメリカの漫画で、人物の頭の上に電球がぱっと浮かぶ」ように思いついた。BOOK3は「1、2とはまったく違う文体で、文章を絞りに絞って」書いた。また、「(『1Q84』の世界には)解き明かされてしかるべきことはいくつかあります」と、続編執筆の可能性も示唆した。

写真の拡大自身が編集した最後の号となった「考える人」で、村上氏の文学に迫った
自身が編集した最後の号となった「考える人」で、村上氏の文学に迫った
自身が編集した最後の号となった「考える人」で、村上氏の文学に迫った

 幼少年期についても率直に明かしている。中学、高校時代は中央公論社の「世界の歴史」シリーズやドストエフスキーなど19世紀の文学を愛読。夏目漱石、芥川龍之介、谷崎潤一郎に興味を引かれてきた。海外作家にも話題は広がり、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」で知られる米国の作家サリンジャーに対しては、「最大の問題は、ストラクチャー(構造)をつくれなかったこと」と指摘。「小説家の資質として必要なのは、文体と内容とストラクチャーです。この三つがそろわないと、大きな問題をあつかう大きな小説を書くことはできない」との創作論を展開している。

 松家氏は1982年の新潮社入社以来、担当者の一人であり、海外の翻訳シリーズ「新潮クレスト・ブックス」の創刊に携わった。8年にわたり「考える人」編集長を務めたが、6月末で退社。今後はフリーの編集者、慶大特別招聘(しょうへい)教授として活動する。「物語の底知れない力を今回の取材で改めて感じた。自分なりに今後も文学に貢献していきたい」としている。

(2010年7月2日  読売新聞)

 ピックアップ

トップ


現在位置は です