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書籍「自社生産」少部数に対応…講談社

講談社が導入する印刷・製本ライン。左端部分にロール紙をセットすると、表裏に印刷した後、折り機、綴じ機などを通って、本が完成する

 講談社は今春、少部数用の印刷機と製本機を導入し、出版大手としては初めて、書籍の“自社生産”を始める。

 出版不況で返本率が4割に迫る中、必要な部数だけを自社で機動的に生産することで在庫を減らし、コストを削減する狙いだ。

 米国製のインクジェット印刷機とスイス製のデジタル製本システムを埼玉県内の流通センターに設置し、夏にも本格稼働する。ロール紙の両面に印刷した後、ページ順に折り重ねて()じるまでを自動に行う。表紙カバーをかければ、すぐにも出荷できる。1時間で1000部作ることができ、月産20万部を目指す。

 オフセット印刷に比べて品質は少し劣るというが、文庫の見本を手に取っても違いは分からない。同社の梅崎健次郎・業務局長は「科学などの学術図書のほか、3000部以下の文庫や新書も自社で作ることを検討している」と話す。

 メリットは経費節減だけではない。同社の文庫の場合、初版は1万前後、重版は2000前後が最低部数だった。印刷・製本会社を使わず、自社で作れば部数の多少で製造コストが変わらないため、初版部数を減らしたり、注文があった数百部だけ重版することもできる。増刷がなかなか決まらない品切れ状態の長期化を解消できる期待もある。

 「3冊に1冊が返品される中、部数はシビアに設定せざるをえなくなっているが、少部数でも出したい本はある」と梅崎局長。少部数のマイナーな本は電子書籍向きとの見方もあるが、紙の本で世に出すことに意義を見いだす著者の方が、まだ圧倒的に多いはずだ。

 月20万部と言っても、雑誌、コミックから文庫、新書、単行本まで手がける総合出版社にとっては全体の1%にも満たないが、出版文化の多様性を確保するための試みとしても注目したい。(文化部 多葉田聡)

2012年1月20日  読売新聞)

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