三浦しをんさん「辞書、読み物としても楽しめます」
言葉の面白さ、辞書編集の大変さを、ユーモラスで人情味あふれる物語として描き出したのが、三浦しをんさんの小説『舟を編む』(光文社)。登場するのは、言葉に対する天性の感性を持つ辞書編集者の主人公、一見軽薄だが陰ながら彼を支える同僚、新しい言葉を耳にすれば食事中でも用例採集カード作りに励む老国語学者ら。彼らが幾多の苦難を乗り越えて辞書刊行にたどり着く物語は、実際の編集者をして「目を潤ませながら読んだ」と言わしめたほどだ。
三浦さんが辞書の面白さを実感するようになったのは、作家になって様々な辞書を引き比べるようになってからだという。「それぞれがとても個性があって、同じ言葉でもいろいろ工夫している。作った人の思いと主張が詰まっているのが面白いと思いました」
執筆のため、2社の辞書編集部と、ページ数の多い辞書のために特殊な紙を作っている製紙会社を取材した。「根気のいる仕事なので、編集者はとてもまじめ。でも、まじめなだけでなくユーモアもあって、『この言葉は絶対こうである』と凝り固まらずに、揺れ動く言葉そのものをとらえようとしていると感じました」と話す。
辞書を引いていると、つい読み入ってしまうこともあるという三浦さん。「変な例文があったり、辞書は便利なだけでなく、読み物としても楽しめます」
(2012年2月23日 読売新聞)
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