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書評残虐な事件が頻発する、昨今の殺伐とした世相の背景には、爛熟(らんじゅく)したコンピュータ社会における、情操教育の欠陥がある。その欠陥を補う、もっとも身近で効果のある手段の一つは、読書と映画といっても過言ではない。本書は、思春期を迎える子供たちに、善悪の区別や人への思いやり、感動、人生の意味などを、映画を通じて伝えようという、ベテラン評論家による案内書である。古今東西にわたり、幅広く多彩な作品が選ばれており、目配りのよさが際立つ。おそらくこれまで、類書はなかったと思う。 作品解説は、どうしても見ずにはおれなくなる語り口で、分かりやすく書かれている。『大いなる西部』などの西部劇、『マダムと泥棒』のような珠玉の小品もはいっており、まことに適切な選択といえよう。できれば読者には、本書に紹介された作品を、子供と一緒に映画館で、あるいはビデオやDVDで、見てほしいものである。(小学館、1400円) 評者・逢坂 剛(作家) (2007年3月12日 読売新聞) |
書店員さんがあらゆるジャンルのお薦めの本を紹介する読書日記。
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