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書評金融危機の構造探る米国の住宅バブルの崩壊に端を発したグローバル金融危機により、世界経済が不況に陥った。この危機は、「百年に一度」の新しい危機なのか。銀行論を専門とする新進気鋭の経済学者である筆者は、日本で起きた1990年代の金融危機と本質的に変わらないとの見方を、本書で提示している。評者も同感である。 洋の東西を問わず、人々は懲りずにバブルを引き起こし、崩壊しては危機に陥っている。金融面からこれを見たときに、行き過ぎた不動産融資が引き金になっていると筆者は指摘する。通常ならば、銀行がお金を貸すとき、不動産を担保に取ることで、貸し倒れたときの損失を小さくできる。それをよいことに、銀行はついつい不動産担保融資を拡大したがる。融資を受けて土地や住宅など不動産への投資が増えれば、不動産価格が上がる。価格が上がれば、担保価値が上がり、もっとお金が借りられ、さらなる投資を生み、また価格が上がる。まさに、バブルが生まれる源である。これは、日本でもアメリカでも同じだった。 筆者は、バブル前から、適時適切に不動産融資の総量規制を行うことを提言している。金融機関の行動を監視する立場の金融監督当局も、これまでに、金融機関の過度なリスクテイクを防止するべく国際的に取り組んできてはいる。しかし、これまでの国際的な自己資本比率規制では、住宅ローンはリスクが低いと見なされ、サブプライム危機を防ぎきれなかった。 好況が続けば、不動産融資拡大はよい結果を皆にもたらすが、一旦(いったん)危機になると大規模な収縮が始まる。銀行は不良債権が増大することを恐れ疑心暗鬼となり、いわゆる貸し渋り・貸しはがしが横行する。今般の欧米での金融危機は、実は1997年からの日本の金融危機の再来ともいえるものだった。金融システムが麻痺(まひ)しないようにするには、自由を認めつつも要所を押さえた規制が必要といえよう。備えあれば憂いなしである。 ◇わたなべ・わこう=1973年生まれ。慶応大学准教授。 日本経済新聞出版社 2400円 評・土居丈朗(経済学者) (2009年11月2日 読売新聞) |
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