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書評

  • 『House』

    尾形一郎
    出版社:フォイル
    発行:2009年10月
    ISBN:9784902943504
    価格:¥2940 (本体¥2800+税)
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 尾形一郎氏は以前、過剰な建築装飾が強い陶酔感をもたらす写真集『ウルトラバロック』などを発表した人(当時は小野一郎名義)。今回は妻で建築家の優さんと組み、新境地を見せている。

 冒頭、砂に埋もれた住宅が現れる。つかの間、ダイヤモンドの発見に沸き立ち、ゴーストタウンと化した砂漠の町だという。一獲千金の夢の跡だが、また別の夢へ滑り込んだような不条理感が漂う。さらにギリシャのハト小屋、沖縄の構成主義的な建築、そしてメキシコのウルトラバロックなど計6章、いずれも奇妙な建築を撮っている。

 ある様式が周縁的な地域で、特異な変容を遂げた例と呼べるかもしれない。ただし変容というには、あまりに現実離れしている。印象としては、むしろ架空の都市を物語るカルヴィーノ『見えない都市』に近い。写真家の新たな旅立ちとも言えそうな快作だ。(FOIL、2800円)(前)

(2009年11月2日  読売新聞)