アニメ界 正当な評価を
川端文部科学相が、「アニメの殿堂」こと国立メディア芸術総合センターの、新規建設を取りやめる方針を明らかにした。
安易に箱ものを作らない方針は、わかる。それでも、私は残念だ。マンガやアニメは世界に誇る日本の文化。資料を収集したり情報を発信したり、海外のファンが訪れたりする公的な拠点があっていいと思うからだ。
そもそも、対象がアニメやマンガでなかったら、ここまで標的にされなかったのではないか。同センターを、「国営マンガ喫茶」と揶揄(やゆ)した鳩山首相(当時は民主党代表)も含め、アニメやマンガを下に見る意識がどことなく透けて見える気がする。
川端氏は、建物でなく「ソフトや人材を育てていくべきだ」と語ったそうだ。それに異論はない。ただ、ソフトや人材と言うと聞こえはいいが、実際に何をするのだろうか。川端氏には、まず、広くメディア芸術の現場に目を向けてほしい。
たとえば、アニメソングという分野。エコノミークラスの狭い座席に24時間も揺られ、採算度外視でブラジルに行くアニソン歌手がいる。「歌を聴きたい人がいるから」と過酷な旅程で、ライブを行う彼らの友愛精神が国際親善に寄与している面は大きい。そこに光をあてられないだろうか。
また、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」主題歌で有名なささきいさおさんは、来年歌手生活50年を迎える。アニソン界を牽引(けんいん)してきた功績は、もっと注目されていいのではないか。
あるいは、アニメと並び世界で人気のメディア芸術が特撮。特撮を支える重要な職業に、変身後のヒーローを演じる通称スーツアクターがある。彼らは、まだまだ正当な評価を受けていないと思う。そんな現実にも目配りをしていただけないだろうか。
センターの中止は仕方ないかもしれない。だが、メディア芸術の保護や発信まではやめないでほしい。政治主導をお願いする。
| プロフィール | |
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鈴木美潮 すずき・みしお
読売新聞東京本社文化部記者
1989年入社。横浜支局を経て政治部。官邸、社会党、外務省などを担当後、Yomiuri Weekly編集部に。2002年から政治部で保守新党、自民党などを担当。美空ひばりと特撮ヒーローの熱狂的なマニア。
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