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[検証・みちのく銀行]大道寺体制の功罪(1)迷走した後任人事

原田頭取、混乱収拾に難儀 「中興の祖」の権威消え

 個人情報保護法に基づく是正勧告や経営責任の明確化を求める業務改善命令と、法令順守を厳しく問われたみちのく銀行が、ほぼすべての首脳陣を更迭し、会長にみずほフィナンシャルグループから上杉純雄氏(56)を、頭取に元常務の杉本康雄氏(58)が就任する新人事を発表した。19年間にわたって頭取、会長を務め「中興の祖」と呼ばれた大道寺小三郎会長(80)の体制に終止符を打った。みち銀躍進の功労者である一方、“長期政権”の弊害が今回の事態を招いたとされる「大道寺体制」の功罪を検証する。

 5月30日午後4時。みちのく銀行本店6階の記者会見場で原田和夫頭取(67)は、大道寺小三郎会長以下取締役と常任監査役の計8人が退任し、会長にみずほフィナンシャルグループから旧富士銀行役員の上杉純雄氏を招く新人事を発表した。「体質を改善しないと駄目だと思い、(人事派遣を)みずほに依頼した」。今年4月、赤字決算の責任を取って原田頭取が辞意を示してから始まった後任探しは、この会見の前日まで難航した。

 「頭取は私たちにこれまで何の相談もしてこなかった。あまりにも突然ではないか」「辞表を書けと言われても。あすからどうすればいいのか」――。27日金曜日の午後、本店の役員会議室で開かれた役員の会合は紛糾した。30日に決算取締役会を控え、この日が次期頭取候補決定のタイムリミットだった。原田頭取は、この場で次期頭取候補として同行の元専務の名前を示すとともに、一連の不祥事の責任を取り、取締役全員に辞表を出すよう切り出した。

 大道寺会長が元気だったころは、物を言う役員もおらず、役員会が紛糾することはほとんどなかった。その大道寺会長が体調を崩して欠席する中、すでに辞意を示している原田頭取には混乱を収める力はなかった。話し合いは夜まで続いたが、流会となった。


写真:写真説明
記者会見で新体制を発表するみちのく銀行役員たち‖三上津与美撮影
 翌28日土曜日に開かれた会議で、「やり方が強引だ」などと批判の強かった元専務ではなく、もう一人の候補、元常務の杉本康雄氏でまとまった。原田頭取が杉本氏に後任の打診をしたのは、発表前日の29日の日曜日午後だった。

 頭取候補の名前が浮かんでは消える――。原田頭取の後任探しは迷走した。「改善命令を受けたので、東北財務局と相談しながら決めなくてはいけない」。この約1か月間、原田頭取は、何度も仙台市に出かけた。「金融庁には人事の介入権はない」「東北財務局に言うべきことは言う」「私が頭取を決める」と強気な姿勢を示し、子飼いにしている取締役や、自らの続投もちらつかせた。

 しかし、そこに立ちはだかったのは、「みずほフィナンシャルグループ」だった。みちのく銀行関係者によると、取締役の辞表を取り付けることは、みずほ側が会長に上杉氏を派遣する条件だった。杉本氏も元専務も、「みずほ」側から示してきた名前だったとされる。

 結局、12人の取締役のうち、残ったのは3人。記者会見で原田頭取は、「少数精鋭で決断も速く末端まで行き渡る。当行が早く生まれ変わってほしい」と新体制にエールを送った。青森銀行を追う後発銀行として、「追いつけ追い越せ」のエネルギッシュな時代への復活に期待を込めて、自らも大道寺体制に別れを告げた。

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