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(下)経済苦対策

多重債務者、救う組合

写真:写真説明
県生活者サポート生活協同組合のパンフレットを手に、多重債務の撲滅を訴える小渡さん
 青森県で昨年自殺した591人のうち、経済問題を苦にした自殺者は225人(県警調べ)。本県の自殺防止策は、経済苦対策を抜きには語れない。とりわけ、消費者金融などから借金を重ね、厳しい取り立てに苦しむ「多重債務者」の問題は、対策が急務だ。

 この問題に取り組む「青森県生活者サポート生活協同組合」が来年6月、八戸市に設立される。発起人に名を連ねるのは、弁護士や税理士、社会福祉協議会長ら23人。発起人代表の貸ビル業、小渡(こわたり)章好さん(60)は「多重債務から抜けだし、人生の再スタートを切るためのお手伝いをしたい」と語る。

 同組合は、多重債務者が社会復帰しやすい環境を作るため活動する。具体的には、債務者には専門のカウンセラーが対応し、多重債務に陥った要因と解決策を分析。弁護士を介して、雪だるま式に膨らんだ債務の一本化をはかる。

 さらに、組合員の出資金を元手に金融機関から融資をうけ、それを債務者に低利で提供し、債務解消や生活資金の一助にしてもらうという。

 小渡さんが多重債務問題にこだわるのには、理由がある。酒類卸会社役員だった約5年前、清掃員の30歳代の女性に会社入り口で声をかけられた。

 「お金、貸していただけませんか」。まじめな印象を持っていたので驚いた。10万円足らず。その場で断った。半年後、女性は失跡した。

 小渡さんはその後、女性の境遇を知った。離婚し、幼い子ども3人を抱えて生活費に困り、消費者金融で数万円を借りた。生活は続かず、さらに借金し、返済が滞って別の消費者金融から借り、やがて多重債務に。家賃や光熱費も払えなくなり、失跡していた。

 「力になれなかった」と小渡さんは悔いた。同時に、借金返済のために別の借金を重ね、多重債務の闇に飲み込まれていく人の不幸を知った。

 小渡さんに転機が訪れたのは昨年夏。知り合いの生活協同組合コープあおもりの土嶺彰理事長から、「岩手県消費者信用生活協同組合」を紹介された。約20年前から、カウンセリングを中心に多重債務者の救済に取り組んでおり、市町村の預託金を元手に金融機関から借り入れし、多重債務者に低利で融資していた。年間に4000件の多重債務問題を処理していた。

 「こんな組織を青森県にも作れないだろうか」。2人で知人に話を持ちかけたところ、賛同者が相次いだ。元県弁護士会長の小田切達弁護士を始めとする法律関係者や会社役員、農家……。発起人会は7月に設立し、出資者はすでに約100人にのぼる。

 自殺問題に詳しい県立保健大の大山博史教授(精神医学)は「返済が滞り、ストレスを抱えた多重債務者が最終的に自殺に行きつくケースが後を絶たない。多重債務者の救済は、自殺問題を解決するために欠かせない」と指摘する。

 設立準備に奔走する小渡さんは、「多重債務の問題を解決するには、個々のケースに見合った対策が必要。幅広い職種の賛同者と協力し、積極的に取り組みたい」と話している。(第3部・おわり)

  

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