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エキナカで県産食材

常時200種類の物産が並ぶ都営新宿線本八幡駅の直売所。主婦やサラリーマンがのぞいていく

 東京都内で勤務を終えて帰る途中、市川市大野町の会社員杉村功さん(64)には、よく立ち寄る店がある。「ほかでは手に入らない珍しい野菜もある。見てて楽しいよ」。この日は生落花生を手に取った。

 市川市八幡の都営新宿線本八幡駅。地下鉄の駅構内に2007年5月、県内初の駅中直売所「FARM FRESH 千葉こだわり物産店」がオープンした。売り場はわずか約5平方メートルだが、多古米や船橋産のナシ、市川産のアサリなど、県産の旬の食材が並ぶ。店長の陳明星さん(28)は「主婦のほか、サラリーマンも利用されます」という。

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 経営するのは船橋市の食品小売会社「モーム」(高橋直司社長)。04年、都営大江戸線上野御徒町駅に出店していた牛乳やパンを販売する「ミルクスタンド」を改装。県内の農業を応援しようと、大多喜町の農産物を販売し始めたところ、これが評判に。本八幡店は2号店で、11月上旬には京成線船橋競馬場駅に3号店がオープン予定だ。

 本八幡駅の店には常連客も目立ち、毎日のように通うという市川市南八幡の主婦(66)は「ここで晩の献立を考えることもある。周りの人に宣伝してるのよ」と笑う。

 同店にトマトやホウレンソウを出荷するJA富里市直販開発課の橋本剛志さん(33)は、「これまで富里の農産物を知らなかった人が野菜を手に取ってくれる。大きな利益は期待できないが、産地の宣伝になっている」と効果を語る。

 ただ、JR本八幡駅側と京成八幡駅側の二つの改札の中間にあるため、「開店から1年半たっても、まだ知らない人も多い」と、モーム販売促進部の宇野いずみさん(26)はみている。客数が平日は1日120人程度、売り上げは4万〜5万円と伸び悩んでいるためだ。

 平日5万5000人が乗降する駅としては、「物足りない」(宇野さん)が、東京都交通局事業開発課の島根節子・課長補佐(57)は「地方の物産がちょっとしたブーム。そのお店を目当てに地下鉄の利用客が増えてくれれば」と相乗効果を期待する。

 県内では、本八幡駅のほか、JR千葉駅や東葉高速鉄道の八千代緑が丘駅、八千代中央駅でも、定期的に特設の直売所が開かれる。「1、2品買うには便利」「『元気豚』というブランド豚を千葉で作っているなんて知らなかった」という声もあり、アンテナショップとして、県産品の魅力を伝える役割も期待されている。

 多くの人が行き交う駅が、都会と農家の懸け橋になる。「小さな売り場だけど、ここを発信基地に地産地消が広まり、地域活性化につながれば」と、宇野さんは張り切っている。

2008年10月10日  読売新聞)
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