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半農ライフに充実感

都内から移住「自産自消」

「今年はイノシシが来なくて助かる」と笑う小畑さん夫婦

 黄金色に染まったいすみ市大野の田んぼ。小畑麻夫さん(43)は9月17日、稲刈りに汗を流した。応援に来てくれた仲間と近況を報告し合いながら、半日がかりで3アールのコシヒカリを刈り取った。小畑さんのTシャツの背中には、大きな「米」のマーク。胸には「NO RICE NO LIFE(米のない人生はありえない)」の文字。米への感謝の気持ちを込めたオリジナルのTシャツだ。

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 小畑さんは2003年、都内のアパレルメーカーを退職し、妻の恵さん(35)といすみ市に移住。空き家になっていた古民家を借り、近くの地主から田んぼを借りて、米作りを始めた。

 田んぼは6アール。収穫量は玄米で150〜180キロ。「3俵(約180キロ)あれば、2人が1年食べていけます」という。4アールの畑でトマトやキュウリ、大豆などを育て、自家製のみそも作る。

 地産地消ならぬ自産自消。魚や卵、調味料は購入するが、牛1頭の飼育に必要な水や穀物の多さを考え、肉は食べない。100%自給自足は難しいが、自給率は60〜70%を行き来しているという。

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 Tシャツを作ろうと思ったのは移住翌年、最初の稲の穂が実った頃。手作業で米を作り、身をもって先人の苦労を知り、「田んぼを守ってきてくれた日本人への感謝の気持ちをなんらかの形で表現したい」と思ったのがきっかけだ。

 最初は友人や知人が買ってくれる程度だったが、海外在住の菜食主義者など食に関心のある人などが次第に興味を示すようになり、テレビ番組で紹介された07年は1000枚以上売れた。「米は日本人のソウルフード」(小畑さん)。米が主食ではなくなり、荒れていく田んぼを見るのがしのびないという。

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 小畑さんには、市原市の道の駅「あずの里いちはら」の農産物直売所の責任者としての仕事もある。その給料とTシャツの売り上げで生活費をまかない、仕事が休みの日に、夫婦2人が食べる米や野菜を作るために農作業をする。

 「半農半Xという生き方」などの著書のある塩見直紀さん(43)(京都府綾部市)は、小畑さんのような、半分農家で半分別の生きがいがある暮らしをする若い世代が増えていると指摘する。「中でも千葉は多様で数が多い。農地を守るだけではなく、特技を生かしてコミュニティーの再生にもプラスの影響がある」と注目している。

 小畑さんの稲刈りを手伝いに来たのは、いすみ市のラーメン店主や大多喜町のコーヒー豆の焙煎(ばいせん)職人だ。「Tシャツが人のつながりを生んでくれた」と小畑さん。「農的な暮らしをしているとオフがありませんが、稲刈りも生活の一部。楽しんでいるし、充実しています」と穏やかな表情で語った。

2008年10月19日  読売新聞)
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