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<6>高速道路 しまなみの実情知って今治市大西町のJR大西駅。ツバメの巣からのフンで駅が汚れないように地面に新聞紙が敷かれ、花壇の花が利用客の目を楽しませる。 そんな細やかな気遣いは、9月からは見られなくなるかもしれない。JR四国が先月21日に発表した、秋に無人化する29駅の中に大西駅も入り、女性契約社員は8月末でいなくなるからだ。列車を待っていた同市の会社員山田英行さん(36)は「お年寄りや体の不自由な人は不安なのでは」とつぶやいた。 JRが19年ぶりの駅無人化に踏み切った大きな要因は、高速道路料金の値下げによる収益悪化だった。同社は、先月28日に始まった高速道無料化実験による今年度の減収を約4億円と見込み、同日、記者会見した泉雅文社長は、「対応しづらいが、できる経営努力がないかを考えたい」と述べ、さらなる経費節減を模索する意向を示した。 ◇ ◇ 自公政権下での休日上限1000円などの大幅割引き。政権交代後に打ち出された一般高速2000円、本四高速3000円を上限とする新料金案。そして、先月始まった無料化実験。ここ数年、高速料金はめまぐるしく変わり、関係者は振り回され続けた。 高速のみが優遇される形になり、多くのフェリー航路が廃止や減便となり、今治市と広島県呉市を結ぶ中四国フェリーは廃業に追い込まれた。 瀬戸内しまなみ海道を“生活道”として使う沿線の島民たちは、料金制度の変更や新たな提案に一喜一憂。今治市の大三島に住み、島民割引を求めて署名活動を続ける松岡映二さん(64)は「無料化を公約しながら、新料金案は実質値上げ。国は地方の実情を知らなさすぎる」と憤る。 国土交通省は、「観光振興を目的とした休日1000円と違って、無料化は物流コスト削減による産業活性化につながる」とするが、恩恵を受けるはずの物流業界ももろ手を挙げて歓迎しているわけではない。 西予市に本社を構え、南予の鮮魚を都市部へ運ぶ丸忠運輸の近藤一紀常務は、「鮮魚を扱うので時間が命。経費が節約できるのはありがたいが、1車線の高速なので渋滞しないだろうか」と気をもむ。 ◇ ◇ 「高速を無料化するならば、他の公共交通機関に補助を講じる必要がある」と指摘する早稲田大学アジア研究機構の戸崎肇教授(交通政策学)は、住民の声を代弁するように続けた。「全国一律ではなく、地域の実情に即した交通行政が求められている」。(奥原慎平)(おわり) (2010年7月5日 読売新聞)
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