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もり立て若い力集う<8>イメージ作り感性生かす今年4月の開幕に向けて動き出したプロ野球独立リーグ・BCリーグの「福井ミラクルエレファンツ」。県内初のプロスポーツチームに思いを託す動きが、球団関係者や選手だけでなく、県内各地で起きている。 福井市文京の福井大文京キャンパス。教育地域科学部3号館3階角のデザイン実習室に、深夜まで明かりがともる。学生らが残って、エレファンツのマスコットキャラクターやロゴマークなどのデザイン作業を進めているのだ。 彼らがデザインを引き受けたのは、2007年10月。当時、県民球団設立準備室代表だった球団運営会社社長の清水昌勝が、彼らの指導教官である同学部のデザイン担当准教授、西畑敏秀(49)に、「ユニホームのデザインを頼めないか」と声をかけたのがきっかけだった。 西畑は同大学で教べんをとる傍ら事務所も構え、広告デザインなどを手がけている。清水は県立高志高野球部の先輩。西畑自身も、野球への思い入れは強かった。「野球で地域活性化を、との思いに共感した」と振り返る。 清水の依頼を快諾した西畑は、学生と大学院生13人とともに、球団の象徴となる基本デザインを固めることから始めた。 西畑が基本デザインの概念として求めたのは、〈質の高い“普通”〉。「野球とは誰からも親しまれ、愛されるもの。球団の象徴となるデザインも、万人に受け入れられるものでなくてはならない」 西畑の唱える基本概念に沿って、学生らは試行錯誤した。球団側と相談した結果、チームカラーは黄色を採用。チームのシンボルとなった象と、黄色を基本にしつつ、他球団と異なる特色を出さなければならない。 検討を重ねた結果、ロゴマークは、「エレファンツ」のアルファベット表記(Elephants)の中の「p」を、象の横顔と地図上の県の形に見立ててデザインすることに。マスコットキャラクターはもちろん、ユニホーム姿のかわいらしい子象だ。 これらのデザイン案が採用されたのは、同大学4年の西尾明子(22)。「高校のころから野球が好きだったので、自分のデザインが野球チームで使われてうれしい。県外出身ですが、福井が第二のふるさとになりますね」と笑顔を見せた。 帽子やヘルメットに使われるマークは、ミラクルの「M」とエレファンツの「E」を組み合わせた同大学院生、武井文(22)の案に決まった。象の耳や鼻を思わせる曲線を取り入れ、柔らかい印象を与えるマークに仕上げた。「これまでのスポーツキャラクターに象は登場していなかったので、先入観にとらわれず取り組めた。自分が考えたマークを身に着けた選手たちのプレーを見るのが楽しみ」と話す。 これらの基本デザインは今後、名刺などの印刷物や移動バスの外装といった様々な球団関係の物品に取り入れられる。 さらに、当初は西畑に依頼のあったユニホームのデザインは、福井文化服装学院(福井市木田)が担当。西畑たちの取り組みを知った同学院学校長補佐の竹澤弘恵(31)が「私たちにも参加させてほしい」と申し出たためだ。福井大グループの基本デザインを取り入れつつ、同学院生のアイデアが採用され、スポーツ用品メーカーとの共同製作が進んでいる。 球団のPRビデオを制作する計画もある。担当するのは、福井市高木中央で映像制作会社を営む榎智洋(32)。1997年から福井を拠点に活動するアマチュア劇団「深海シガレットムーン」の主宰者でもある。「福井にプロ野球球団が誕生する」との知らせを聞き、「球団と選手を応援したい」との思いに駆られたという。 「芝居も野球も、〈ライブ〉という点では同じ。隣の席の人と一緒に笑ったり怒ったりと、喜怒哀楽を共有する一体感がある。球団と福井を全国に向けてアピールしたい」と意気込む。PRビデオのほか、開幕後はイベントなどで球場を盛り上げる演出も手がける予定だ。 「10年、20年後の福井を背負っていくのは20、30歳代の彼ら。私たちが目指す地域の活性化を担うのもこの世代。だからこそ、新しい感性を取り入れていきたい。そうすれば、県民の関心を引き付けられるし、集客にもつながるだろう」。清水は球団に結集しつつある若い力に期待をかける。 エレファンツをもり立てる動きが一時のブームに終わらない、息の長い取り組みになっていけば、その先には、スポーツを基盤にした豊かな市民文化が県内に根付いているはずだ。 (文中敬称略) (おわり この連載は、上田友也、増田尚浩が担当しました) (2008年1月13日 読売新聞)
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