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女性医師に育児の負担■緊急対策 医師不足解消若手医師を計画配置しよう ■構造改革 医師を増やし、偏在をなくそう 県立医大付属病院(福島市)の研修医、古川未希さん(27)が、長男の悠真(ゆうま)くん(2)を迎えに併設の託児所「すぎのこ園」に向かったのは、日が暮れた午後6時過ぎ。「遅くなっちゃったねー」。悠真くんを抱き上げて表情をゆるませたのもつかの間、靴を履かせて支度を調えると、慌ただしく帰路についた。 夫(29)は、別の病院で働く産婦人科医。夜間の急な呼び出しも少なくない。古里の盛岡市に住む両親は頼れず、二本松市に住む夫の母親に週4回、片道20分かけて託児所の迎えや食事を手伝ってもらっている。 「両立できるのは、義理の両親など周りのサポートや理解があってこそ。命を預かる医師は患者の容体に行動が左右される。夫婦2人で子育てに奮闘している先輩の姿をみると、私は恵まれていると思う」 スポーツ医学に興味があり、医学部を受験。在学中、細胞を顕微鏡で見てその状態を解き明かしていく病理学の面白さを知り、将来はその専門医を志している。 「子育てにもかかわりたいし、好きな仕事を子どもを理由にあきらめたくない」。ただ、50歳代の義理の父親は転勤族で、いつまで義母に助けてもらえるかは分からない。 ◎ 厚生労働省によると、2008年の医師国家試験の合格者に占める女性の割合は、34・5%。20歳代の産婦人科医の7割以上、小児科全体の半数を占め、人手不足が深刻な診療科に集中している。一方、日本産婦人科医会の08年の調査では、分娩(ぶんべん)を扱う女性医師の約半数が、出産や育児で勤務から10年前後で現場から離れていることが明らかになった。 県立医大産科婦人科学講座の小宮ひろみ医師は「休むことで周りに負担をかけると考えて、出産後、育児休暇もとらずに頑張って働くが、勤務状況が過酷で退職や休職に追い込まれる。もとの現場に戻って来られない人が多い」と嘆く。07年に県内の女性医師195人にアンケートを行ったところ、出産を経験した人の7割が育児休暇をとらず、すぐに現場に復帰していた。 ◎ 一方で、女性が働きやすい環境を整えようとする試みも始まっている。 施設内に託児所を持つ竹田綜合病院(会津若松市)では06年、急な夜間の呼び出しがあった際、保育士を自宅に派遣する制度を始めた。「患者の容体が急変したりして夜中に医師を呼び出すことは避けられない。医師でない私たちができるサポートはなにかと考えた結果」と同病院総務課。 県立医大では08年4月、子育てはじめの一定期間、勤務時間を通常の半分程度にする短時間勤務制度を設けた。 小宮医師は言う。「子育てする時期は、人生の長さからみればほんの短い時間。せっかくお金をかけて育てた医師が病院からごっそりいなくなれば、患者、医師の双方が困る」 ■提言要旨■ まず、解決すべきは医師の絶対的な不足だ。医学部の定員を2割程度増やして1万人とし、欧米並みを目指す。ただ、医学部の在学期間と初期研修期間(現行2年間)を合わせて最低8年間かかるので、すぐには医師不足に対応できない。 産科や救急医療の体制を維持するには、診療科や地域ごとに生じている医師偏在の是正が欠かせないが、今、働いている医師を他の専門・地域に替えるのは現実的ではない。 初期研修を終えて後期研修(3〜5年間)に進む若手医師を、計画的に配置すべきだ。それにより、中核病院に人的余裕が生まれ、中堅医師の医療過疎地域への派遣も可能になる。 計画的配置では、大学や基幹病院、自治体、医師会などが第三者機関を設立。地域や診療科ごとに必要数(定員)を定め、若手医師の希望や意欲も聞いて、すり合わせるなどのシステム作りも求められる。 (2009年3月16日 読売新聞)
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