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(4)茶髪「都会っ子」伝統継ぐ

織り姫生活「80歳まで」

写真:写真説明
村に定住することを選んだ元「織り姫」の舟木さん。織り機に向かう表情は真剣そのものだ
 「すごいところに来ちゃったな」。昭和村に住む舟木容子さん(30)が十年前、村伝統の「からむし織」を継承する「織り姫」一期生として、初めて村を訪れた時の第一印象だ。

 コンビニエンスストアは無く、信号機も二つだけ。だが、特産の「からむし織」を生かし、県内で地域おこしに最も成功した自治体と言われる、もう一つの顔があった。

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 イラクサ科の植物・カラムシの茎から取り出した繊維で織り上げられる「からむし織」は、村の振興公社が扱う製品だけで4568万円余りを売り上げる(二〇〇二年度)村の主産業。その成功を支える大きな柱となったのが、舟木さんら「織り姫」たちだ。

 六百年の伝統を持つとされるからむし織も、高齢化と過疎化の波にさらされ、継承者の多くが七十歳代を超えていた。そこで、新たな担い手を育成しようと考えられたのが「織り姫」制度だった。

 全国から若い女性を募集し、三年間をかけてカラムシの刈り取りから機織りまでの技術を伝授する。これまでに十一期、六十四人を受け入れている。

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 埼玉に生まれ育った舟木さんが織り姫に応募したのは、「田舎を見てみるのもいいかも」との軽い気持ちから。だが、訪れた村は、想像を絶する世界だった。物珍しそうな村人の視線。「一緒に写真撮ってください」と言われることもあった。糸づくりから織りまで、何もかもが初めての体験。それでも、一から自分の手でモノを作り上げる達成感に、すぐにやみつきになった。「からむし織に会うために、今までの人生があったんだ」と感じた。

 過疎の村に突然多くの若い女性がやってきたことには、反発もあった。中でも舟木さんは、茶髪にピアスという出で立ちで異彩を放っていた。「お前みたいなのがからむし織をやるとイメージが悪くなる」との声も耳にしたという。村の体験学習施設「からむし織の里」の菅家敬子販売主任も「外の人間を受け入れる地元住民にも、織り姫たちと同じくらいのストレスがあった」と振り返る。

 それでも舟木さんの、「からむし織をやりたい」という情熱だけは誰にも負けなかった。翌年には、村で知り合った夫・靖さん(31)と結婚し、移住を決意した。現在、村には舟木さんを含め六人の元「織り姫」が暮らしている。

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 三人の子供に恵まれ、一時は子育てに専念していた舟木さんだったが、今年から「織り姫」としての生活を再スタートさせた。「からむしの里」に勤めるかたわら、「自分の手で、一から織り上げたい」と、近所に畑を借り、自前でカラムシを栽培している。

 「八十歳になっても、元気にからむし織を教えられるおばあちゃんになること」が夢だという舟木さん。一方で「完全に村の人間にはなりきりたくない」とも話す。「外から来た人間にしか作れないからむし織がきっとある」と信じているからだ。

 舟木さんらの若い力が、六百年の伝統に、また新たな命を吹き込むに違いない。

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