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多選

「弊害は人次第」強調  「風通し悪い」「独裁」批判も

写真:写真説明
知事選の対立陣営は、多選により小寺知事(左)と職員との距離が遠くなっていると指摘している(昨年12月28日の県庁御用納めで)
 昨年11月9日の大沢氏の出馬表明記者会見。同席した笹川尭・自民党県連会長が1枚の新聞記事を記者団の前で広げた。

 「多選は腐敗の温床だと武村さんも言っている。いろいろな誘いを断ることは人間として容易じゃない」

 「武村さん」とは、小寺知事の旧自治省時代の先輩で、滋賀県知事も務めた武村正義・元官房長官を指す。笹川氏が取り出したのは、武村氏が寄せた「腐敗の芽 多選禁止議論を」という投稿記事だった。

 昨年は福島、和歌山、宮崎3県で、相次いで知事の不祥事が発覚、全国的に知事の多選批判が強まった。

 5選を目指す小寺氏は、こうした批判に対し、自らの選挙で公共事業関連業者や特定議員に“借り”は作ってこなかったとし、「不祥事が起きるかどうかは人によりけりで、私は最初からそういうことがいささかも起きないように最大の注意を払っている」と繰り返す。支持者も「小寺さんは身辺が非常に清潔だ」(佐藤富三・桐生商工会議所会頭)と信頼を寄せる。

     ◇

 大沢氏の出馬表明後しばらくして、県議会の自民党控室に、県職員労働組合の機関誌が2005年正月企画で作った「県職労『上州カルタ』」が張り出された。小寺知事の“独裁ぶり”を嘆いた「さわらぬ殿に 左遷なし」などのカルタには、目立つように青のマーカーで線が引かれている。

 今年も、県職労機関誌の正月号は、「臣謀遠慮」「幹部無量」「気色鮮明、部下震撼(しんかん)」など、県職労風「創作四字熟語」を紹介している。

 自民党も「多選の弊害の一番大きなことは、権力の長期化により、知事が裸の王様になり、公正な判断が下せなくなることだ」と、批判の軸足を“腐敗”から“独裁ぶり”や“風通しの悪さ”に移している。

 3選出馬を断念した片山善博鳥取県知事の「組織がどうしても上を向く傾向が出てくる。知事の了解をとることが最優先事項になる」という発言も持ち出す。実際、本県では小寺知事が職員以上に各分野に詳しいことなどから、意見具申を控える職員も少なくないといい、風通しの悪さを指摘する声がある。

 こうした指摘に小寺知事自身、「多選がいいことだとは思っていない」と認める。そのうえで、民間企業の役員のように、自分の担当分野に限らずに県政全般に意見を述べることができる理事制や、地域密着と縦割り排除を掲げた県民局制を導入し、組織の風通しに気を配っていると主張。「県民が選んだ知事が、官僚機構を使って目的を達成するのが期待されている。『組織が上を向く』というが、職員の判断に知事が従うというのではおかしいのでは」と問い返す。

    ◇

 一般的に多選に様々な弊害があるのは事実で、同じ知事が5期も務めるのは好ましいことではないだろう。ただ、笹川会長に投稿を引用された武村氏は読売新聞の取材に、「多選は良くないが、例外もある。小寺さんは自民党と向かい合い、権力にあぐらをかいていない。例外だ」と話した。

 例外かどうかは、県民が判断することになる。

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