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尾瀬保護

ごみ・荒廃・・・指導力今一歩

写真:写真説明
自然観察会での小寺知事(左端。昨年8月25日、尾瀬で)
 「自然保護運動の発祥地として残念なことだ」

 昨年8月、福島県檜枝岐村の尾瀬沼畔で開かれた「尾瀬サミット」で、尾瀬保護財団理事長でもある小寺知事は、あいさつでこう話し、表情を曇らせた。

 尾瀬では2005年10月以降、空き缶やガラスくずなどが10か所前後で大量に埋められ、放置されていることが発覚。尾瀬の自然保護の先進性の一つとされる「ごみ持ち帰り運動」が根底から覆されかねない事態だった。

 小寺知事が宿泊し、サミット会場ともなった山小屋は、ごみの放置場所の一つから徒歩1分足らずの場所。だが、現場が福島県だったこともあり、知事が現場を視察することはなかった。

 サミットから2か月後の10月中旬、山ノ鼻地区(片品村)から約11トンのごみが、県や土地所有者の東京電力などによって撤去されたが、この問題に対する県の出足は鈍かった。福島県檜枝岐村の見晴地区で最初のごみ放置が見つかったのは一昨年だが、県が本県側で山小屋へ同様事例の聞き取り調査などを本格化させたのは、尾瀬沼畔の環境省所管地で大量のごみ放置が報道された昨年6月以降だ。NPO「尾瀬自然保護ネットワーク」(東京)の高橋喬理事長は「ごみ問題の解決は尾瀬の国立公園独立の最低条件ではないか」と指摘する。

     ◇

 尾瀬は今年、日光国立公園から独立し、全国で29番目の国立公園となる見込みだ。県は、小寺知事が率先して実現したサミットや、11年間の財団の活動が、独立化につながったと成果を強調する。自然保護関係者も「小寺知事には尾瀬保護の意欲は感じる」と一定の評価を与えるが、個別の課題に対する県の取り組みには不満も示す。

 尾瀬を代表する名峰でありながら、登山道の周辺が荒廃したままの至仏山(2228メートル)。県が財団に委託して02年に設置された「至仏山保全緊急対策会議」の専門委員会は05年、荒廃の著しい3か所の登山道ルートの付け替えや、入山規制の法的根拠となる利用調整地区制度の全国初指定を目指すことを提案した。

 しかし、同会議の事務方を務める県は費用をだれが負担するかや、“観光重視派”と“自然保護派”に挟まれるなどして明確な方向性を示せず、いずれも実現に至っていない。結局、合意を得やすい東面登山道の登り一方通行が今夏から先行実施される見通しになった。

 「形式的なサミットでなく、観光関係者と自然保護の活動をしている者が腹を割って話し合い、実効性のある解決策を導き出す場が必要だ」。長年、尾瀬の環境保護に携わってきた奥利根自然センター所長の内海広重さんはそう訴える。

 単独国立公園化を控え、県のリーダーシップが改めて求められている。

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