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裁判員に どう影響<42>

証人(右)へ質問する被害者の妻役の女性書記官(左)(地裁で)

 先月23、24の両日、地裁で行われた模擬裁判で、年内に実施が予定されている■被害者参加制度■が取り入れられ、同制度の手続きの検証なども行われた。刑事裁判で犯罪被害者・遺族に被告人質問や求刑の意見を述べることを認める制度で、県内では初めて。刑事裁判にどのような影響を及ぼすのだろうか。(仁井慎治、井上大輔)

 裁判員には、視覚に障害がある県内の男性(64)ら6人が選任された。2日間で審理されたのは、飲酒後、法定速度を約35キロ超える約75キロで乗用車を運転した49歳男が、対向車と衝突、運転手の57歳男性を死亡させた「危険運転致死」事件。男は起訴事実を認めているとの想定。

 被害者として参加したのは、亡くなった男性の妻。地裁の女性書記官がふんし、被告人質問や意見陳述を行い、最後には求刑の意見も述べた。被告人質問では、「謝って済むと思いますか。主人を返して下さい」などと質問し、被告の男が「申し訳ありません」と答えるやり取りがあり、意見陳述でも再度「主人を返して下さい」と述べた。検察官が懲役8年を求刑した後には、「改めて出来る限り法律上の重い刑を望む」とし、検察官の求刑より12年重い懲役20年を求めた。

 翌日24日の評議では、裁判員の中には遺族の被害感情を考慮しようという意見も出たが、判例なども参考にした結果、裁判官3人と裁判員6人の意見は懲役5〜7年でまとまり、多数決で懲役6年の判決に決まった。これまでの同様の事件の判例と比べても〈妥当な判決〉だった。

 高橋康明裁判官は「裁判員の方は冷静に判断したように思う。遺族の意見陳述はこれまでにも行われており、制度が始まってもあまり判決に影響はないのではないか」という。

 しかし、本番でも同じように冷静な判断が下せるのか。裁判員を務めた女性会社員(23)は「(本番なら)心が動かないはずがない」とし、主婦の女性(61)も「懲役20年はありえないと思ったが、本番なら考えてしまうかも」と語っている。

 実際、模擬裁判に参加した検察官や弁護士も「やはり本番では遺族の影響は違うと思う。その影響を検証できたとはいえないのでは」と声をそろえる。

 今回の模擬裁判だけで、被害者参加制度は判決に影響を及ぼさないと決めつけず、来年5月の裁判員制度の開始も視野に入れて、検証を深めることが必要だ。

     ◆     ◆

■被害者参加制度■ 殺人罪や業務上過失致死罪などでは、▽被害者とその弁護士は、裁判官の許可を得て審理に出席できる▽証人尋問で情状に関することを質問できる▽意見陳述をするために必要と認められる場合、被告に質問できる▽事実関係や求刑についての意見を陳述――などができる。昨年6月の改正刑事訴訟法の成立により、今年中に実施されることが決まった。

2008年7月7日  読売新聞)
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