ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

医師、地域のニーズ結ぶ<46>

故郷で産科医として活動を始めた高山医師。「良いタイミングで、この病院と巡りあえた」と話す(尾道市の公立みつぎ総合病院で)

 県内では30年ぶりに医師数が減少するなど、医師確保が緊急の課題となっている。医師不足の解消につなげようと、県などがインターネットを通じて県出身の医師や医学生と、病院を橋渡ししようと開設した「ふるさとドクターネット」は、昨年12月のスタートから、これまでに2人の医師誘致につながった。(澤本浩二)

 ドクターネットは、県内で勤務する意向のある医師や医学生がホームページで登録。登録票には、勤務を始めたい時期や、地域などもチェックできる。登録者には、メールなどで希望に合った病院からの求人情報などを提供するほか、県担当者が直接、勧誘も行う。

 尾道市の公立みつぎ総合病院では、2人の産科医が1人に減ったため4月に分娩(ぶんべん)介助を休止したが、ドクターネットがつないだ縁で高山保守医師(64)が着任。9月の再開にこぎつけた。

 世羅町出身で、和歌山県内の公立病院などに勤めていた高山医師は7月、知人の紹介でドクターネットに登録。県医療政策課は即座に動いた。

 担当者が連絡をとり、1週間後にJR新大阪駅の喫茶店で面談にこぎつけた。連日、電話をかけて好感触をつかみ、県東部での勤務を望む高山医師に合わせて、尾三と福山・府中の圏域で、産科医を求める2病院に打診。8月5日、みつぎ総合病院を訪ねた高山医師は、尾道市幹部らの熱心なアピールに、心を決めた。高山医師は「地域のニーズと私の希望がちょうどマッチした。最高のタイミングだった」と振りかえる。

 ドクターネットの登録者数は、11月21日現在で71人。内訳は現役医師が43人、研修医7人、医学生21人で、地域別では関東の25人をトップに、中四国と九州・沖縄の各12人、近畿の9人などと続く。

 ただ、広島以外の他県でも医師確保に力を入れており、自治体間の“医師争奪戦”は激化する一方だ。島根県では2002年から「赤ひげバンク」制度をスタートし、これまでに38人の医師を確保。広島県内に勤務していた島根県出身の医師が、同県の病院に転職したこともあったという。

 県内では、2年ごとに行う医師数調査で、06年、前回から81人減の6740人と、30年ぶりの減少となった。危機感を強めた県は、将来、県内の中山間地域で活動する考えの医学生向け奨学金制度について診療科を産科、小児科、麻酔科に絞っていた要件を08年度から撤廃。対象も4年生から1年生以上に拡大した。

 07年度は4人の募集枠に1人の応募にとどまったのに対し、08年度は9人に増えた。広島大医学部が県内での医療従事を前提にした入学枠「ふるさと枠」(5人)を09年度に新設するのに合わせて、県も対象を同大の学生に絞った奨学金制度を設ける。

 県医療政策課の担当者は「『地方対地方』で医師確保にしのぎを削る、厳しい時代」としつつ、「全体として医師不足を解消しなければ、医師の不毛な奪い合いに終わるだけ。長い目で、医師を育てる努力が欠かせない」と指摘している。

2008年11月24日  読売新聞)
現在位置は
です