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(2)低公害と高性能 両立追求清水浩(しみず・ひろし)さん 電気自動車開発 60 (宮城県出身)
仙台市出身。仙台一高卒、東北大大学院を経て、国立公害研究所(現・国立環境研究所)へ。1997年から慶応大環境情報学部教授。著書に「電気自動車のすべて」(日刊工業新聞社)「地球を救うエコ・ビジネス100のチャンス」(同)など。 ■■■ ![]() 「エリーカを支えているのはリチウムイオン電池など日本で発達した技術。日本の発展のためには、新技術の発明者を大切にする仕組み作りも必要です」と話す清水教授(栗原市で)=箱守裕樹撮影
電気自動車「エリーカ」が完成した時、ガソリン車を超える加速感を表現できたと実感しました。アクセルを踏み込むと一気に加速し、最高時速は370キロに達します。電気自動車といえば、環境にはいいけれど、遅くて、乗り心地が悪いというのが一般的な印象でしたが、それを覆す車ができたと思っています。
国立公害研究所では、レーザーを使った世界最大級の大気汚染観測装置を開発しました。その仕事が一段落し、子どものころからやりたいと思っていた車作りを始めたんです。32歳でした。 公害を何とかしなければという思いがあり、電気自動車に決めました。アイデアを20ぐらい集めた本を事前に書き、まず理論的に詰めました。製作に充てたのは昼休みと仕事後。1983年、友人からポンコツ車とトラックのスターターを手に入れ、1台目を完成させました。時速40キロで走る程度でしたが、技術的には簡単だったので、これなら普及させられるだろうと本腰を入れました。 91年に完成した4台目は最高時速176キロ、1回の充電で270キロ・メートルの走行を実現しました。でも、加速感、広さ、乗り心地の「三つの価値」で、ガソリン車を大きく超えなければ消費者には買ってもらえない。そう感じました。
2台目から、タイヤの中にモーターを入れました。車体の前部と後部で車内空間を狭めていた大きな電池を床下に収納。するとタイヤが邪魔になった。タイヤの直径を小さくするだけでは乗り心地などに影響します。そこで、一つのタイヤを小さなタイヤ二つに分割し、合計8輪にしたんです。 90年代以降、携帯電話などに広く使われるようになったリチウムイオン電池や、馬力を出すモーターに最適な磁石が開発されました。それらを活用し、2004年に完成したのが「エレクトリック・リチウム・イオン・バッテリー・カー」、略してエリーカです。 エリーカは、モーター1個が100馬力で合計800馬力。モーターはガソリン車のようなギアが不要です。スムーズで抜群の加速感に仕上がりました。
ガソリン車と全く原理の異なる電気自動車は、フィルムカメラを駆逐したデジタルカメラのように、破壊的な技術革新なんです。このため、既存の自動車メーカーはなかなか話に乗ってくれません。ただ、年間10万台程度の生産ラインができ、価格も下がれば、爆発的に普及するはずです。
自動運転が実現すれば、年間6000人が死亡し、100万人がけがをしている交通事故が減る。車を使えないお年寄りでも、1人で病院に通えるようになるでしょう。 環境にいい電気自動車が自動運転で日本中を走る。そんな社会を見届けたいですね。(聞き手・東北総局 箱守裕樹) みやぎ工業会 電動バス試作へ![]() 工夫を凝らしたエコカーレースの電気自動車(日本環境エネルギー協議会提供)
宮城県では、電気自動車の実用化に向けた取り組みが具体化している。県内にある企業でつくる「みやぎ工業会」が、電動バス「Eタウンバス」の運行を計画。仙台市などでマイカーに代わる交通手段として、数年後をめどに試作車を開発する方針だ。 工業会は清水教授にも相談して計画を進めている。構想では、試作するのは30人乗りの小型バス。エリーカと同じ8輪で、タイヤの中にモーターを入れる方式を採用し、お年寄りも乗降しやすい低床にする。電源は、高額なリチウムイオン電池ではなく、車体後部に大容量バッテリー3個を積むという。 工業会の工藤治夫理事は「県内の電子機器や自動車部品のメーカーなどが協力すれば、作れるはず。全国にアピールしたい」と期待をかける。 一方、村田町や秋田県大潟村では1995年から、決められた電気量と時間で何キロ・メートル走れるかを競うエコカーレースが続いている。毎年、企業や大学、高校のチームが出場。参加した学生が大手自動車メーカーでハイブリッド車の開発にかかわるようになるなど、省エネ技術者の育成にも貢献しているという。 (2007年11月24日 読売新聞)
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