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HAC 予備機なし

欠航連発 搭乗率も低迷

機材故障による欠航が目立つHAC機(函館空港で)

 奥尻空港(奥尻町)付近で昨年6月、機体が地上に異常接近するトラブルを起こした北海道エアシステム(HAC)は、その後、機材故障が原因の欠航が目立つ。年間15万人余が利用する<道民の翼>は、なぜ欠航が多いのか。

 今月25日、HAC機の運航状況を伝えるネット上のページに「欠航」の赤い文字が三つ並んだ。先月28日以来の機材故障による欠航だった。

 午後2時過ぎ、函館から奥尻に向かった便で異常が見つかった。離陸後にタイヤを格納する際、ロックがかかっていないことを示す表示が出た。奥尻でタイヤ周辺の氷を解かした結果、函館に戻る便に異常はなかったが、念のため函館で点検することに。整備士が丘珠空港(札幌市)からJRで函館に向かい、点検用機材は別途、車で運んだ。

 この後飛ぶはずだった函館―丘珠、丘珠―釧路、釧路―丘珠便が欠航。翌朝も丘珠―釧路の第1便が欠航し、点検を終えた飛行機は朝になって函館から釧路に回された。3機で道内6空港を慌ただしく行き来しているため、今回のように日中に異常があると玉突きで欠航が増える。

 異常接近による点検が終わって3機体制に戻った昨年8月以降で見ると、機材故障が原因となったHAC機の欠航は10月に93便を記録。故障で欠航便が出た日数も、10月は10日、12月は11日に及んだ。搭乗率は、9月以降4か月連続で40%台に低迷している。

 ■交換部品の在庫増やす

 故障の中身は、プロペラ、翼、エンジンの空気取り入れ口などにある氷の防除装置の不具合が目立つ。無線の周波数が切り替わらない、エンジンの空気取り入れ口に傷、といった例も。「安全を脅かすトラブルはない」という説明だが、規定上、整備士の方が丘珠から他の空港に向かわなければならない場合もある。

 同型機を持つ鹿児島の日本エアコミューターまで部品を取りに行くことが多いのも欠航増の原因だった。このため、昨年10月ごろから部品の在庫を増やし、鹿児島に行く場合も、受け渡しがスムーズにできるようにした。

 夏場の14往復体制だと丘珠での滞在時間が限られ、整備が長引けば欠航せざるを得ない状況もあった。現在は13往復だが、2月からは12往復に減らして余裕を持たせる。

 HACの植田康宏・取締役企画営業部長兼人事総務部長は「欠航は減らしたいが、安全第一。予備機を持てば維持費の問題も出る」としており、欠航を減らす次の一手はなかなかないようだ。

 ■「ビジネス利用」圧倒的

 通院や観光などでの利用もあるHACだが、圧倒的に多いのはビジネス客。1月下旬の月曜に丘珠・函館間を往復すると、定員36人で、乗客は午前の函館行きは9人、夕方の丘珠行きは12人だった。

 「日帰り利用。自分は半年に1回程度だが、毎月利用する社員も」(通信関係、女性)「月7、8回、行ったり来たり」(製薬関係、男性)「東京と、札幌や函館を月2、3回行き来する」(スポーツ関係、男性)と、繰り返し利用するビジネスマンが多い。

 「40分で移動できる利点は大きいが、欠航が続いた時は参った」「今日も、運航が安定している全日空の千歳・函館便とどちらにするか迷った」といった声も聞かれた。こうした乗客の声に、HACはどう答えるのだろうか。


 【ひとこと】ゼロ目標に対策を

 筆者も、機材故障による欠航の経験者だ。飛ぶかどうか分からないというイメージを払拭しないまま、利用促進を図るのは難しい。悪天候での欠航がある程度やむを得ない以上、他の原因による欠航をゼロに近づけていかないと、信用は回復しないと思う。(編集委員 中西 茂)

2012年1月29日  読売新聞)
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