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「カムバックサーモン運動」 (2004年10月24日)回帰率検証の新展開
(吉田 典之)
● “銀鱗の輪”広げ4半世紀 180万都市の中心地を横切り、石狩川に合流して日本海に注ぐ豊平川。土砂の流出を防ぐえん堤に造られた魚道を時折、バシャッと音を立ててサケが上ってくる。住民には見慣れた秋の風物詩だ。 川には毎年、約20万匹の稚魚が放流され、約0・5―1%にあたる1000―2000匹(推定)の親ザケが帰ってきている。
サケが豊かに上る川だった豊平川から、その姿が消えたのは戦後間もなく。下水道が未整備なため、近くの真駒内地区にキャンプを構えた米軍を始め、急速な都市化に伴う人口集中によって大量の汚水が川に流れ込んだ。ピークは50―60年代で、「汚物が流れ、目を覆うようなありさまだった」と、同会の木村義一副会長(72)は振り返る。 【全国に大きな反響】
翌年3月、初めての放流となる「壮行会」では、20万匹のサケの稚魚を放した。結局、この年は計100万匹が巣立っていった。2年後の81年秋、市民が待ち構える中、長旅を終えた放流一期生が豊平川に戻ってきた。その“事件”は、全国に大きく伝えられた。 反響を呼んだカムバックサーモン運動は、道内だけでなく、本州にも飛び火。富山や新潟、東京や埼玉県などでも地元の川にサケを呼び戻す運動が始まった。 一方、道内の多くの小学校では、冬の間に卵を孵化(ふか)させ春に放流するなど、サケを理科や社会科の教材として活用する動きも広まった。84年には、札幌市南区の真駒内公園に札幌市豊平川さけ科学館が開館、以来、サケの孵化、放流や学習の場として活用されている。
きれいになった豊平川に、サケは確かに戻ってきている。しかし、そのうちどれだけが川で生まれた「豊平川産」なのだろうか。 科学的な裏付けを取るため、同館では、今年から放流するサケに印を付け始めた。アブラビレと呼ばれる、背びれの後ろにある小さな突起を切り取るのだ。 戻ってきたサケにアブラビレがなければ放流魚、あれば川の自然産卵で生まれた魚だとわかる。「大切なのは川そのものの再生産能力の復活。これで、サケの“出生地”が確かめられる」と同館の岡本康寿管理主任(37)は説明する。結果がわかるのは2010年ごろだという。 一方、運動の中心を担ってきた北海道サケ友の会では、会員の高齢化や会員数の減少により、今年度いっぱいの解散も検討している。「豊かな自然環境を取り戻す運動に終わりはないが、環境に取り組む市民、団体は増えており、その点では一定の成果を上げたと思う」と木村副会長は話している。
北海道サケ友の会の木村義一副会長=写真=に、これまでの歩みと、今後の展開について聞いた。 ――当時と現在を比べてどう思うか。 「運動が始まった当時は、北海道さけ・ますふ化場(現さけ・ます資源管理センター)の職員で、放流のための卵を求められる立場だった。当時、卵は貴重品で、法律による管理も厳しく、会員と議論したことも多かった。ものが有り余る今は隔世の感がある」 ――この放流で、サケが本当に戻ってくるかどうか、心配はなかったか。 「習性として、必ずサケは戻ってくる。それよりも大切なのは、サケが本当に根付くことだ。戻ってきても、水が汚いと親や新たに生まれた稚魚にストレスとなって、再生産にはつながらないかもしれない。科学館で始まった調査に期待するとともに、本当にきれいな川を取り戻し、維持する努力を続けなければならない」 ――小学校でも孵化(ふか)や放流が行われ、教育にサケが役立てられているが。 「水槽の中でかわいい姿を見るだけではだめ。保護すべき野生動物であると同時に、サケは貴重な食料でもある。人間も、生きるために他の生き物を食べなければならない。厳しい現実を直視し、生命の大切さを知るなど、サケに学ぶことはもっと多い」 ――会の解散も検討しているようだが。 「ピーク時は1000人以上いた会員数も今は300人ほどになり、会員の年齢も60歳代が中心。現在の事業は、毎年4月の放流のほか、小中学生を中心にしたカナダとの国際交流、シンポジウム、年3回の会報発行など。ただ、会としての社会的責任もあるし、これまでの活動を引き継いでくれる団体を探すなど模索中だ」
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