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多目的材料変換システム<上> (2005年5月4日)

課題の「水分」「悪臭」解決

写真:写真説明
留萌バイオマス処理センターで稼働を始めたMMCSの装置
 留萌・小平町の建設会社「西村組」が開発した、有機系廃棄物を資源(バイオマス)として再生する「多目的材料変換システム」(MMCS)が、全国から大きな注目を集めている。政府が推進するバイオマス・ニッポン総合戦略に貢献できる新技術との評価を受け、稼働し始めたばかりの処理施設には自治体や企業の見学者がひっきりなしに訪れている。一体どんな可能性を秘めているのだろうか。

 「日本のエネルギー事情や、北海道の農業を大きく変える。そういう技術だと思っています」。西村祐一社長(52)は胸を張る。人口約4300人の町で、港湾工事を主に手がけてきた従業員約50人の中小企業だ。

 処理後の下水汚泥は、粒子が粗く、空気を含んだ土のような外見。においもあまり気にならない。「水分」と「悪臭」という、バイオマス資源の2大課題を一気に解決できるのが、画期的な点だという。

 「公共事業削減で本業がダメになったので、有機農業に転換しようと、2002年にバイオマスから有機肥料を作る研究を始めた。それが、ほかの目的にも利用できると分かった」と、西村社長。

 MMCSは、西村組の高瀬浄二・技術顧問(56)が、東京工業大学の吉川邦夫教授の協力を得て2年かけて開発、特許を取得した。牛(ぎゅう)糞(ふん)や生ごみ、下水汚泥、農業・漁業残滓(ざんし)、木片など何でも処理できるのが特徴という。

 4月に稼働を開始した留萌バイオマス処理センター(留萌市)に設置された2台は、それぞれ高さ約6メートル。最上部のホッパーから、たる形の反応容器に材料を投入し、終わると下から処理品を取り出す。

 反応容器には、ボイラーで水蒸気を送り込む。20気圧、200度まで内部の圧力と温度を上昇させると、加水分解によって入れた物の分子が細かく分断され、炭素化合物に変化する。さらに減圧の過程で「破裂」して、粉砕された状態になる。所要時間は60分ほど。処理品は原形をとどめない。

 粉砕されて表面積が増えるため水分が蒸発し、含水量80%の下水汚泥も、処理後72時間で30%まで乾燥する。さらに、塩分や微生物、重金属類も取り除かれ、殺菌されて悪臭も1〜4%までにカットできる。1回の処理量は1〜1・5トンで、コストは330〜1000円。燃焼させないため、ダイオキシンも発生しない。

 高瀬技術顧問は「塩分が抜けるので、肥料の材料として最適。1年以上かかる堆肥(たいひ)化が、1時間ほどでできる」と利点を語る。燃やして炭化させる過程がないため、燃料として利用した時の発熱量が高く、効率のいい材料になるという。

 この技術で、中小企業金融公庫から新規事業育成資金の融資を取り付けた。今年度から大学や研究機関と共同研究を行い、発電などへの転用の可能性を探ることにしている。

(山口 香子)

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