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多目的材料変換システム<下> (2005年5月5日)家畜ふん尿処理に威力
ゴミから電気を作る「小型廃棄物ガス化発電システム」の研究をしている東京工業大学の吉川邦夫教授は、留萌・小平町の西村組が開発したMMCS(多目的材料変換システム)を手放しで評価する。 ガス化発電はゴミを熱分解して一酸化炭素や水素などの可燃性ガスを発生させ、発電に使う技術。現在主流の、ゴミを燃やして排熱でタービンを回す方法に比べ、発電効率に優れ設備も小規模ですむ。 このため、自治体などが、自前のゴミで必要な電力を賄う「循環型社会」実現のカギを握る技術として期待されているが、ゴミを乾燥させなければならない点が普及の障害になっている。 「乾燥させるエネルギーと、発電によって得られる電力が、ほぼ同じということもあった。だが、MMCSを使えば、乾燥に使うエネルギーは半分ですむ」と、吉川教授。 割りばしやプラスチックなどが混ざった生ゴミも、均質化できるという利点もある。実証実験はこれからだが、吉川教授は「MMCSは、前処理機械として、ガス化発電とセットにできる」と話す。 「なかなか面白いと思って見ています」と言うのは、農水省の藤本潔・資源循環室長。家畜のふん尿処理に特に役立つのでは、と注目しているという。 北海道では、年間約1962万トンもの家畜のふん尿が発生。ふん尿の適切な管理を定めた家畜排せつ物法が、昨年から本格施行となり、処理施設の整備コストが酪農家に重荷となっている。 藤本室長は「ふん尿を直接、または堆肥(たいひ)として草地にまくと、窒素が多くなって、植物の成長をコントロールしづらくなります」と話す。MMCSは、ふん尿を乾燥して悪臭を減らす上に、窒素もある程度取り除くとされている。「窒素がうまく飛んでいるなら、まいても害はない。早くMMCSが実地で働いているところを見たい」。藤本室長は期待する。 同じく利用が難しい農業廃棄物、もみ殻の処理方法を考えているのは、上川農業試験場(上川・比布町)の柳原哲司・栽培環境科長。配水管の詰め物に使われるほど分解しにくいもみ殻も、MMCSを通せば低分子化された炭素化合物に変化し、微生物にとって格好のエサになる。 「雑草を抑制するような効果があるかも知れないと考えています」。今年度から、西村組と共同で、もみ殻処理物の特徴の研究を始める予定だ。 遠くブラジルからも引き合いがあるというが、現在稼働中なのは、留萌市の下水汚泥処理を請け負う留萌バイオマス処理センターの2台のみ。4月中旬までに成立した契約はない。1台約1億6000万円という価格と、実地の稼働歴の短さがネックになっている。西村組は「せめて半額に」と、コストダウンを課題に挙げている。 (山口 香子)
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