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<中>十勝・畑作地帯 (2007年9月22日)関税撤廃、輪作にも打撃
道によると、7月後半の好天を反映し、収穫の終わった小麦の収穫量は平年並みを確保した。テンサイも順調に生育している。産地には安堵(あんど)感が漂う。 しかし、今秋以降に本格化する豪州との経済連携協定(EPA)交渉の行方次第では、上清川地区など、十勝の畑作地帯が激震に見舞われる可能性が高い。豪州側は、小麦と砂糖の関税撤廃に重点を置くと見られる。交渉の結果、小麦(関税率は252%)と砂糖(同379%)の関税が撤廃されると、日本の約89倍ある農地面積で大規模生産される豪州産小麦や砂糖が、ざっと現在の10分の1程度の価格で流入してくる事態が想定される。 影響はそれだけにとどまらない。十勝の畑作農家は、病害虫の被害を最小限に食い止めるために輪作を行っている。輪作には土地の養分を均一に保って、種まきや収穫の繁忙期を一時期に偏らせない効果もある。「小麦」「テンサイ」に「大豆・小豆」と「ジャガイモ」を加えて輪作体系を築いている場合が一般的だ。小麦とテンサイの作付けに支障が生じると、輪作体系が維持できなくなり、ジャガイモや大豆・小豆の生産にも悪影響が及ぶ。道は日豪EPA交渉で小麦やテンサイなどの関税が撤廃された場合、道内の負の波及効果が1兆3716億円に及ぶと試算する。 上清川地区で約35ヘクタールの畑作農業を営む梶宗徳さん(33)は、5年前に家業を継いで、「小麦」(作付面積約14ヘクタール)、「テンサイ」「大豆・小豆」「ジャガイモ」(作付面積各約7ヘクタール)の輪作を行っている。耕作規模、耕作作物ともに平均的な十勝の畑作農家だが、「豪州産にはどうやっても価格面で太刀打ちできない。EPAは正直、ものすごい脅威だ」と話す。 農家も脅威を前に、手をこまぬいているわけではない。梶さんは、来年1月から、さらに大規模な生産にも対応できるように、家族経営から法人経営へと移行する考えだ。十勝の小麦農家の一部には、パンに使うとふっくらと焼き上がる特徴を持った新品種を栽培し、豪州産の輸入小麦との差別化を図ろうとする動きもある。 高齢化によって手放さざるを得なくなった農地を、梶さんなど若手が引き継ぐ動きが、十勝ではここ数年、強まっている。20〜30歳代の若い農家は増える傾向にあるという。 新しい農業の形を十勝に確立できるのか、それとも日豪EPAの大波にのみ込まれてしまうのか。十勝の畑作地帯は、今、大きな分岐点に立たされている。
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