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日航、全日空冷ややか 茨城空港2010年春開港

発着枠増、羽田乗り入れ優先

D滑走路の建設が進む東京・羽田空港沖。工事は24時間体制で続けられている(4月25日)

 「羽田より儲(もう)かるなら飛ばしますよ」

 就航対策で飛び回る県空港対策課の職員に対し、国内大手航空会社の反応は冷ややかだ。就航を表明した航空会社はゼロ。水戸市内で3月21日に開かれた「茨城空港利用促進懇話会」の席上、委員として招かれた日本航空と全日空の両幹部はまったく口を開かなかった。

 霞ヶ浦の北側に位置する航空自衛隊百里基地(小美玉市)。周辺には雑木林や田畑が広がる。ここに、2010年3月、北関東初の空の玄関口となる茨城空港が開港する。民間共用化に向けた工事は急ピッチで進み、自衛隊機が離着陸する2700メートルの滑走路の横には、平行する新滑走路が徐々に姿を現している。

 苦戦の理由には、同時期に進められている羽田、成田両空港の建設工事が大きく関係している。

 海上に浮かぶ要塞(ようさい)のような重機が「ズン」「ガギン」と重低音を響かせ、視界には高層ビル群の真上を飛ぶジャンボ機が入ってきた。茨城空港予定地から南西に約90キロ離れた東京・羽田空港沖――。人工島を造成して整備する4本目の新滑走路「D滑走路」の建設が進む。運用開始は、茨城空港の開港と同じ10年の秋になる見通しだ。

 羽田、成田両空港は、滑走路の新設、延伸により、10年中に現行の発着枠が年間約13万回増える。羽田だけでも約11万回。満杯だった国内最大空港の発着枠拡大は航空市場の拡大に直結し、各航空会社は水面下の争いを続けている。羽田への乗り入れを最優先する航空会社の視界に茨城空港は入ってこない。

 国土交通省は1999年度、大阪などの国内4路線を想定して茨城空港の需要予測を年間約81万人とはじき出したが、2005年度には、ターミナル建設計画をまとめるにあたり、約70万人という新たな試算もしている。国交省は「算出目的が違い、どちらの数字も有効」とするが、下方修正とも受け取れる。

 地方空港を取り巻く状況は厳しい。日本航空と全日空は07年度に計16路線を廃止したが、いずれも羽田と結ばない地方路線だった。

 「国内線は本当に飛ぶのか」「このままでは機運が高まらない」。与党県議らからは、いらだちに近い声が漏れる。

 求められるのは、ほかの空港との差別化――。ある経済誌の昨年4月号に世界の航空会社を大々的に取り上げた特集記事が掲載された。県空港対策課の担当者らの目に、一つの単語が飛び込んできた。「格安航空」だった。

■構想20年「離陸」へ 経済効果、年300億円期待

 茨城空港の計画は、竹内藤男前知事時代までさかのぼる。1992年、前知事が「百里に民間機を入れたい」と発言したのを契機に、小川町(現小美玉市)での議論が活発化していった。

 96年には、国の第7次空港整備5か年計画で「検討課題」に位置づけられた。98年3月に県と運輸省(現国土交通省)、百里基地を管理する防衛庁(現防衛省)の三者が新滑走路建設で合意。2000年度に事業に着手した。

 新空港の事業主体は国交省で、設置者は防衛相。整備事業費約250億円のうち、県の負担は約80億円。航空自衛隊が現在使っている2700メートルの滑走路に平行して、同じ長さの新滑走路が整備される計画で、今年9月ごろまでに完成する予定。約200〜300人乗りの中型ジェット機と、約130人乗りの小型ジェット機の乗り入れを想定し、国内路線としては、沖縄、札幌、福岡、大阪の4路線就航を目指している。

 開港までには、北関東道の茨城町ジャンクション(仮称)から分岐する東関東道水戸線が整備され、空港から約9キロの位置に、茨城町南インターチェンジ(同)が設置される。

 滑走路の維持管理なども国が行うため、開港後、県の負担はほとんどない。その半面、航空会社が支払う着陸料や駐機料は一切、県には入らず、収入はごくわずかだ。それでも、開港後1年で約10万人の観光客が見込まれるなどとして、県は年間300億円の経済波及効果があるとの試算を発表し、空港の経済効果に期待している。

2008年5月21日  読売新聞)
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