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【5】会見軽視 県庁に横行本紙を始め、朝日新聞、毎日新聞など全国メディアの記者が、石川に転任し、県庁を担当すると、まず、驚くことがある。知事が県政について見解を述べ、記者の質問に答える「定例記者会見」が存在しないことだ。全国47都道府県で、知事が月1回以上の割合で定例会見を開いていないのは石川だけだ。 県庁の職員も、知事に倣っているふしがある。各都道府県は、独自の政策・事業を発表する際、担当部署が記者会見や説明会を開くのが通例だ。県民はもちろん、全国への情報発信も重要な時代。だが、石川では、資料を配布するだけのそっけなさだ。 会見には、担当者が直接、記者に説明し、質疑を受けることで内容を誤解なく、的確に伝える狙いがある。何よりも、担当者が同じ説明を何人もの記者に繰り返す労力を減らすことになるのだが。 人口が同規模の県と比較すると、秋田では2008年度、県職員による会見や説明会は115回、大分では170回行われているが、石川はわずかに30回だった。 知事の谷本正憲は、職員による会見の少なさを問われ「子どもじゃあるまいし、各課で判断すべきこと。そんなことまで知事が口出ししたら、無気力な県政とそしりを浴びる」と話す。 だが、職員の受け止め方は違う。ある幹部は「他県でそんなに県職員が会見しているとは知らなかった。職員が会見する発想自体がない」と驚き、別の幹部は「知事の思いと違うことを話せば、しかられる恐れがある。できれば、知事にやってほしい」と打ち明けた。 ◇ 情報発信や公開の意識の薄さは、不祥事が起きた時にはっきり見て取れる。昨年10月、会計検査院の調査で県の不正経理が発覚した際、県総務部は「後で会見を開く」としたが、1か月後、「すでにほとんどの社に個別に内容を説明した」として、公式な会見を拒否。報道機関が猛反発し、数時間後、渋々、会見に応じた。 また、昨年5月に県庁内で職員がパソコンソフトを違法にコピーしていた問題では、最後まで会見を開かなかった。こうした対応に、他県の広報担当は「危機管理として、責任者が公の場で説明するのが原則なのに」と驚きを隠さない。 県の幹部は「上司に公の場で謝らせたくないという意識がある」と弁解する。知事のリーダーシップで職員の意識を変えなければ、変革はおぼつかない。 ◇ 実は、谷本は「話好き」だ。石川の特産品や産業技術を企業関係者に自ら売り込む「トップセールス」にも熱心で、記者が廊下などで谷本を取り囲んで話を聞く「ぶら下がり取材」にも気さくに応じてはいる。 だが、公式な記者会見を嫌うのはなぜか。谷本は「定例会見をしても質問がほとんど出ない。その分、ぶら下がりであらゆる質問にお答えしている。私ほど丁寧に対応している人はいない」と反論する。 昨年11月の補正予算発表の会見では、県の事業を視覚的にアピールするため、各自治体でも流行中の「会見用背景パネル」がお披露目された。谷本は上機嫌でパネルの説明をしていたが、その後、パネルは3回しか使われていない。(敬称略) <情報公開制度も消極姿勢目立つ> 谷本県政では、県民への直接的な情報公開制度に関しても、消極姿勢が目立つ。全国市民オンブズマン連絡会議が1996年から、調査を続ける「全国情報公開度ランキング」。石川県は同年の第1回調査時に全国10位と高評価を得たが、2004年度以降は順位をずるずると下げ、07年度は全国41位となった。 ランキングは、その時々の社会の関心事で採点項目が変わり、必ずしも“透明度”を正確に反映する訳ではない。それでも、連絡会議が07年11月、県に請求し公開された「退職者再就職状況」には、公的機関に「天下り」した元職員の情報があるだけで、民間企業への再就職組は公開されなかった。 市民オンブズマン石川幹事の林木則夫は「昔ながらの資料の黒塗りの方がまだまし。隠した事実を隠そうとしている」と指摘する。 (2010年2月20日 読売新聞)
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