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〈5〉抱え込まず相談しよう一家5人の熊田家を切り盛りする主婦・熊子さん(48)の1日は、サラリーマンの夫らの弁当作りから始まる。夫と子どもを送り出した後は、寝たきりの義母を介護しながら、洗濯や掃除に駆け回る。 そんな熊子さんに、ある日突然、のぼせやめまいの症状が襲った。さらに不眠にも悩まされる。気力もなえ、ささいなことで落ち込むようになった熊子さん。そんな時でも夫は、「風呂」「お茶」「寝る」しか言わない亭主関白。誰にも相談できないまま、ついに倒れてしまう――。 これは、千田クリニック(北上市)の千田恵美医師(43)が自ら筆をとった漫画「それゆけ更年期!」の一節。多くの患者に接した経験が基になっている。 更年期の症状に悩む女性の中には、脳外科や精神科、心療内科を転々とし、ストレスで心の健康がむしばまれていく人もいる。「更年期のちょっとした変調を重い病気にしないよう、かかりつけ医としての責任を果たしたい」。千田医師が漫画を描こうと思ったのはそんな思いからだった。 親しみのあるクマを登場人物に据え、気軽に読んでもらえるように工夫を凝らした。「更年期は女性にとって心身の受難期。1人で抱え込まないで」とのメッセージを込めた。 更年期症状は、女性ホルモン「エストロゲン」が減ることで起こる心身の不調だが、その人の置かれている生活環境や、性格などによって症状の強弱が異なると言われる。一般的に、ストレスをためやすい人は症状が強く出やすい。 千田医師は「前向きに物事を考え、視野を広めることがストレスにうまく対処する秘訣(ひけつ)」と指摘。化粧などおしゃれに気を使うのも心身のリフレッシュには効果的とアドバイスする。 ストレスとうまくつきあうには、ストレスのありかを知ることが大切。生活の中の出来事や、その時々の気持ちをメモにするなどし、整理することでストレスの原因や対処法が見えてくる。 「更年期は自分の体をいたわってあげて」。熊子さんは、更年期を経験したお隣さんの一言で気が楽になった。自分の症状を家族にもしっかりと伝え、手助けを求めたことで、“乱気流”を乗り越えることができた。 体内環境の急変期と言われる更年期。心と体のリズムを整えれば、第二の人生へ軟着陸できる。 (おわり。この連載は、山口正雄が担当しました) ■メモ 更年期に精神的な症状が起きやすい要因の一つとして、心の安定を保つ脳内神経伝達物質「セロトニン」の分泌の悪化が挙げられる。セロトニンは、女性ホルモン「エストロゲン」が減少すると、分泌が落ちる。「幸せ伝達物質」とも言われ、セロトニンの分泌が減ると、気力が衰え、最悪の場合はうつ症状を招く。更年期以降を健やかに過ごすには、心の健康にも配慮することが大切だ。 (2008年8月30日 読売新聞)
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