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[第1部 ナンバーワン物語]

(14)ニンニク 町を元気に…青森県

県内の収穫量1万4400トン

 「にんにく日本一」を掲げる町が青森県にある。岩手・秋田に近い田子(たっこ)町。ホームページでは、町でとれるニンニクを「雪のように真っ白」で「エレガント」な形をしていると紹介している。青森県はニンニク収穫量日本一。そういえば、青森出身者には、スタミナ系の一流選手が目立つ。元ボクシング世界王者の畑山隆則さん、陸上女子5000メートルなどの日本記録を持つ福士加代子さん、甲子園で延長18回を投げ抜いた伝説の投手・太田幸司さん。訪ねるだけで元気になりそうな町で、“日本一”の秘密を聞いてみた。

 「毎年、7月の収穫期には、町中がニンニクの香りであふれますよ」。そう話す町職員の北田弘子さん(49)の名刺にもニンニクのキャラクターが、しっかり印刷されていた。町は、アメリカやイタリアの市や町と「にんにく姉妹都市」提携を結び、「にんにくシンポジウム」も開いたとか。町内で唯一のスキー場も「創造村229(ニンニク)スキーランド」。町中を歩くと、ニンニクの形をした街灯が。これぞまさに“ガーリック王国”。

 青森産ニンニクの収穫量は、国内の約8割を占める約1万4400トン(2004年統計)。県内で出荷量が最も多いのは十和田市で、田子町産は7位(同)。なのに、なぜ「日本一」と胸を張れるのか。

ニンニクで町を元気に 田子の“日本一作戦”結実 収穫したては絶品


収穫したてのみずみずしいニンニクを手に取るJA十和田市の女性職員(十和田市で)

 町経済課の川村武司さん(55)によると、町でニンニク栽培を始めたのは40年以上前。「この地域は豪雪地帯のうえ、土壌が火山灰質で作物が育ちにくい。農閑期の出稼ぎも多く、換金作物として、近くの村で栽培を始めていたニンニクに目を付けた」

 それから、町と町民が一体になった“日本一作戦”が始まった。国内最大の東京の市場で扱い量、質とも一番になることに狙いを定め、厳しい規格管理を徹底。「時には規格外のトラック1杯分のニンニクを農家に突き返したこともあった」という。間もなく念願がかない、1976年、神田市場でキロ当たりの最高値を記録。77年には、農協単位としての出荷量が全国トップになった。

 「田子産ニンニクは、青森産を“全国区”にするけん引役を果たした。農家のプライドとの闘いだったけど、農家は、田子の宝だよ」。「攻めの農業アドバイザー」の肩書を持つ川村さんは、しみじみ話してくれた。

 ニンニクは主に乾燥してから出荷される。だが「収穫したての生ニンニクは絶品」だという。それならばと、北田さんの実家の畑にお邪魔した。

 北田さんがシャベルを土に入れ、母親の岩間はるゑさん(76)が引っこ抜く。土のついた皮をむくと、中から透き通るほど白くみずみずしい実が現れる。それをラップで包み、電子レンジで温めると、「ニンニクの蒸し焼き」の完成だ。熱々をほおばる。意外にもにおいはない。香ばしさとほくほく感が口の中に残り、ぜいたくな気分だ。

 「ニンニクは人間に似ていて、10か月間、お母さんのおなか(土)の中で育って生まれるんですよ」。ニンニクへの愛情たっぷりの北田さんの言葉を聞いて、また、体がホコホコしてきた。

 ニンニクは、肝機能の促進作用や疲労回復などに効果があるとされ、「特にビタミンB1を吸収するには理想的な食べ物」(船山信次・日本薬科大薬学部教授)とか。夏の暑さはこれからが本番。帰り際にいただいた、はるゑさん特製のしょうゆ漬けニンニクは、貴重なスタミナ源になっている。(竹田淳一郎)

 ニンニク ユリ科の多年草、西アジア原産といわれる。古くから香辛料、強壮剤として使われてきた。切ったりつぶしたりして空気に触れると、無臭成分が「アリシン」という物質に変化し、強烈な香りを発する。強い殺菌作用も持つ。ビタミンB1を保護し、活性化させる作用がある。牛肉などと相性が良く、イタリア、韓国料理などの材料としても多く使われる。

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2006年7月13日  読売新聞)
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