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与島、鍋島<2>灯台桜 新たなともしび
鍋島灯台(高さ約10メートル)は「灯台の母」と言われるR・H・ブラントンが手がけた日本で5番目に古い石造りの灯台。灯台守の話を描いた木下恵介監督の映画「喜びも悲しみも幾歳月」(1957年)の舞台にもなった。灯台守は1991年にいなくなったが、山岡さんは散歩の度に灯台を見上げる。そして、木に異変はないか、様子はおかしくないか注意を払っている。まさに現代の「桜守」だ。 坂出市番の州工業地帯の北約3キロにあり、周囲4・3キロの与島は、鍋島と防波堤でつながる石材の島だったが、瀬戸大橋建設を機に大きく変わった。南へ北へと橋が伸びる建設の拠点。木造船による石材運搬で生計を立てていた山岡さんも、フェリー型の船に買い替え、岡山県倉敷市や坂出市から資材や機材を運ぶ仕事に転換、活況を呈したが88年、需要が無くなることから橋の開通と同時に廃業した。 橋で唯一のパーキングエリアがある島は、レストランや遊覧船クルーズなど観光地化が進み、橋が開通した初年度は観光客500万人が入場。しかし、列車が行き交うようになると、電話の声が聞こえないくらいの騒音問題が表面化。山岡さんは周辺の島の住民と対策協議会を設け、自治会長としてJR四国や県に働きかけるなど忙しく働いた。 車両の軽量化や防音板の設置などで問題解消したが、バブル崩壊に高額な通行料金が追い打ちをかけ、立ち寄る観光客も減少、観光物産施設も2003年に一時閉鎖した。「にぎわった島がだんだん忘れ去られていくんじゃないか」と、不安に駆られた。 鍋島に枝垂れ桜を――。04年10月、瀬戸内海の島々を花でいっぱいにして観光客を呼び集めようと運動を進める県観光協会が打ち出した。「地元の人にかわいがってもらうことが第一」と、灯台から目と鼻の先に自宅を構える山岡さんら地元自治会に協力を持ちかけた。「電車や車から桜を見た人が、与島や鍋島に立ち寄ろうかという気持ちになってくれたら」。自治会役員も「島をアピールしたい」との一心で快く引き受けた。 昨年4月。小ぶりで濃いピンクの八重の花が枝についていた。「咲いたなぁ」。専門家から植え替え直後の1年目は開花するが、2年目に花を付けるかどうかが勝負と聞いている。油断はできないとわかっていたが、ほおは自然と緩み、「来年、再来年とどんどん花が大きくなるとええなぁ」と期待は膨らむ。 高松海上保安部は満開に合わせて4年半ぶりに灯台を公開した。2日間で約360人が訪れ、久しぶりに小さなにぎわいが生まれた。「灯台も桜も愛してもらいたい」。同保安部航行援助センターの高岡信男所長(55)も温かい目で見守っている。 灯台の桜は、瀬戸内海の新たなともしびになっている。
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