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(3)間接情報のみで判断「中止」独り歩き「知らないところで、式典中止が進んでいる」 サンディエゴ・横浜の姉妹都市50周年式典の実行委員長カネコ・オオシマ・ビショップさん(77)はそう思いながら、中止を告げる役目をこなした。 招待客一人一人に電話し、開催できなくなったことを告げた。「皆さん落胆を隠さなかった……」 サンディエゴ市のメールは「(山火事で)非常事態のため、市民の救援に全力を挙げている」と伝えた。横浜市の中田宏市長は「火の燃えさかっている市に行くことが、危機管理上、正しいのか。延期の判断は、『相手を思う』ということだ」と語った。 山火事の状況をどう把握し、サンディエゴ市民を「思いやった」のだろうか――。 ◎ 横浜市の長谷川武三国際政策室長は「米国のメディアやサンディエゴ市のホームページで山火事の状況を把握していた」と、米国の「TIME」誌の火事の特集記事を広げて語った。 また、「市のロサンゼルス事務所を通じ、独自に調査していた。駐在員や(式典のために)先乗りした職員からも情報を集めた」と強調する。 さらに、ロサンゼルスの日本国総領事館から送られてきたファクスを手に、「現地のしかるべき外交筋から、そんなこと(式典)をやる状況じゃないといっている」と力を込めた。 ◎ サンディエゴ消防本部は、ダウンタウンの市役所の目と鼻の先にある。消防・救援局のリー・スワンソン広報官は見るからにタフガイ。「山火事は10月21日(現地時間)、カリフォルニア州南部で発生、50万人が避難した。サンディエゴでは22日に、市中心部から北に約24マイル(40キロ)に火が迫ったが、23日にすべて鎮火した」と地図を広げながら説明した。 式典は鎮火から5日後の10月28日だった。その日サンディエゴは青空が広がっていたという。 スワンソンさんは「400人以上のファイアー・ファイターが、徹夜で消火に当たったからな。市街地には影響はなかった」と誇らし気に語った。 タクシー運転手の男性(27)は「山火事があったから来たくないのはわかるけど、全く影響なかった。煙もみえないし、火事はテレビで知ったくらい。そうした時こそ、来るべきじゃないのかな」と話した。 ◎ 横浜市に「式典をやったらおかしい」と伝えたのは、ロス総領事館の経済担当領事だった。 領事は観光を担当しており「山火事の様子はサンディエゴ観光局の知人男性に問い合わせた」と語る。サンディエゴ市に住むその知人は領事に「煙も見える、避難している人も出ている」と伝えた。 領事は「知人が個人的な見解として『こんな時期に式典をやったらおかしい』と言ったため、そのまま横浜市のロス事務所に伝え、横浜にもファクスした」と説明する。 被害の程度について領事は「現地を見ていないのでわからない」と語った。 ◎ 山火事で市長の訪問をどうするか、さぞ、難しい判断を迫られたことだろう。 横浜市は、スワンソンさんのいるサンディエゴ消防当局から直接情報を得るより、米メディアやネット、雑誌、現地を見ていない領事からの「情報収集」に一生懸命だったようだ。 総領事館のファクスにある「現地のしかるべき外交筋」の話。領事の知人の個人的見解が公式見解のごとく独り歩き。よもや、そんなことはあってはならない、はずだ……。 (サンディエゴ市で、金子靖志) (2007年12月15日 読売新聞)
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