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<4>伊那食品工業 塚越寛会長(05・5・10)

寒天製品で業界トップ 関係者幸せに安定成長

写真:写真説明
 家庭用寒天製品のブランド「かんてんぱぱ」で全国的に知られる伊那食品工業(本社・伊那市)は、業務用製品の売り上げも順調に伸ばし、創業以来、47期連続増収を誇る業界トップメーカーだ。会社の「永続」を最大目標に掲げる塚越寛会長(67)は「そのためには社員や取引先など関係者すべてを幸せにし、安定成長を図る必要がある」と力説する。経営姿勢は、中小企業経営モデルの一つとして高く評価されている。

 ――会社の敷地は広々として緑が多い。職場環境がうらやましい。

 うちには労働組合がなく「労使」という言葉はない。私がしゃれで言うのは「同志」。この会社は大変貧乏な時代があり、一緒に苦労してやってきたから。私も幸せになりたいし、社員にも幸せになってほしい。そういう思いが社員を大切にすることにつながる。

 ――会社経営をよく、自然に例えて説明している。

 ここは自然が多いから、いやおうなしに木に見習うことが多い。木は密植すると、ひたすら上に伸びる。しかし間伐すると上への成長を止め、根を張って幹を太くする。そういう木のような姿を目指すのが、私の経営戦略だ。木の高さは売上高に相当するが、ひょろひょろと高いと、景気の風に倒れてしまう。収益力、知名度、グローバル化など色々な点でバランスの取れた会社が望ましい。

 ――将来、中国など海外市場に進出する可能性は。

 全然考えていない。急成長する必要がないから。永続と急成長は対極にある。永続するためには急成長してはいけない。

 ――ライブドアの堀江社長による企業買収を、どう見たか。

 会社とは、より大勢の人を幸せにするものだというのが私の信念だから、私には何が目的だったのか理解できない。当面は利益が増えるとか、会社が大きくなるとかいうことはあるだろうけど、それは根源的な目的ではない。

 ――上場はしないのか。

 するつもりはない。会社が永続するためには、しない方がいいと思う。老舗に見習いたい。(例えば和菓子の)虎屋(本社・東京都港区)さんは上場してないでしょう?

 ――高校時代、肺結核で闘病を体験したそうだが。

 私は働けるだけで幸せだと思った。今の人たちは仕事の好き嫌いや適性にこだわるが、本当は関係ないのでは。私は、生まれ変わったら何をやるか聞かれたら、何でもいいから与えられた仕事に全力を尽くすと答える。どこかで必ず道が開けるはずだから。

                   ◇

 【会長の略歴】駒ヶ根市生まれ。伊那北高を病気療養のため中退し、木材関係会社に就職、その関連会社として設立された伊那食品工業の社長に1958年、就任した。95年に科学技術庁長官賞、96年に黄綬褒章、2002年に日刊工業新聞社の最優秀経営者賞、04年に日本食糧新聞社の食品産業功労賞を受賞・受章した。05年3月から会長。

 【会社概要】1958年創立。2004年12月期は売上高144億1100万円、経常利益23億7300万円、純利益14億7300万円。売上高の約6割が和菓子など業務用、約4割が家庭用。国内の寒天市場で占有率約8割。社員数350人(05年4月)。

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