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<5>しなの鉄道 井上雅之社長(05・5・17)

主体的姿勢で立ち向かう 3月期決算で初の営業黒字

写真:写真説明
 長野新幹線開通に伴い、JR東日本から並行在来線・信越線の軽井沢―篠ノ井間を引き継いだ県の第3セクター「しなの鉄道」(本社・上田市)。2005年3月期決算では創業以来初の営業黒字を確保するなど、財務体質の改善が進んでいる。昨年6月に就任した井上雅之社長(44)に、会社の現状などを聞いた。(聞き手・服部牧夫)

 ――財務体質の改善は順調に進んでいるか。

 2004年度は取り組むべき作業を完了し、創業以来初の営業黒字を達成した。中期経営計画(04〜08年度)の取り組みは順調に進んでいると言える。05年度は当期損益の黒字化を目指す。

 ――取り組みが順調な要因はどこにあるか。

 減損会計導入により、減価償却費約2億円を削減した影響が大きい。ほかには世代交代による人件費の削減、さらにワンマン運転区間の延長などでコスト削減も進めた。

 ――減損会計導入に伴い、県は103億円の債権を実質的に放棄した。

 民間企業でも100億円を超える出資というのは、なかなか無い。経営者としては、感謝するとともに責任の重さを感じる。しなの鉄道が成長することは必ず県民益となるので、県民には理解してもらいたい。

 ――中期経営計画のモットーは「挑戦する経営」。従来の経営と異なる点は。

 今までは、行政に責任を押しつけたりJRとのかかわりで経営を評価して、自分たちで主体的に何かをしようとする姿勢がなかった。問題に正面から立ち向かい自分たちで判断して計画を立てられるようにしたい。セミナーを通して私の考えを伝えることで、社員の意識改革を進める。

 ――JR福知山線の快速電車脱線事故をきっかけに、鉄道事業に対する信頼が揺らいでいる。安全対策は十分か。

 事故を受けて確認したが、既に安全基準に十分な措置を講じている。ただどんなに良い仕組みを作っても、慣れにより、自浄作用が無くなってしまっては駄目だ。研修などを通じて、安全に対して敏感な「文化」を作りたい。

 ――余暇の過ごし方は。

 東京で勤務していた時より時間的余裕があるので、新聞や本をしっかり読んでいる。また、温泉につかったり、そばを食べ歩いたりしている。

                 ◇

 【社長の略歴】静岡県出身。法政大学大学院修了。英大手航空会社のブリティッシュ・エアウェイズを経て、2002年5月、スカイマークエアラインズ入社。03年1月、同社社長。04年6月、しなの鉄道社長に就任した。著書に「業界の最新常識 よくわかる航空業界」(日本実業出版社)。米国公認会計士。上田市には単身赴任。

 【会社概要】1996年5月に設立。97年10月、JR信越線の軽井沢―篠ノ井間を引き継いだ。赤字決算が続き、2001年度決算で債務超過に陥る。05年3月、県は、同社に対する約103億円の貸付金を株式に振り替え、実質的な債権放棄を行った。

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